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ESDって?

2024年2月5日

立春とは名ばかりの余寒が続きます。湘南学園のグランドを見ると、みぞれ交じりの雨で、芝生はうっすら白くなっているようです。これから本格的な雪に変わり、警報級の大雪になるという予報も出ています。本日終了した中学校入試には影響なかったのですが、明日の学園生の登校には影響が出そうです。

さて、今回は前回お知らせしましたように、「ESD」についてお伝えします。「ESD」とは、「Education for Sustainable Development(=持続可能な開発のための教育)」を略した言葉です。国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」は、将来にわたって世界中の人々が豊かに暮らしていくために、達成するべき17の目標から成ります。「ESD(持続可能な開発のための教育)」は、SDGsが目指す「持続可能な社会」の創り手を育てようとする教育のことを言います。

環境・貧困・人権・平和・開発など、世界にはさまざまな課題があります。これらの課題は遠い国で起きている他人事のように感じる人もいるかもしれません。しかし、世界中の人々がこれからも豊かな暮らしを続けていくことができる社会を実現するためには、世界にはどんな課題があるのかを知り、解決に向けて私たち一人ひとりがどう行動すればよいのかを考えなければなりません。将来の社会をつくっていくことになる子どもたちにも、現代社会のさまざまな課題と持続可能性の考え方を、今から教えていこうという取り組みの一つがESDなのです。

世界には、地球温暖化、資源の枯渇、環境破壊、貧富の差、ジェンダーなどの人権にまつわる問題など、世界中の人が安心して暮らしていくために解決しなければならないさまざまな課題があります。

文部科学省がESDにおいて、子どもたちに教えるべき現代社会の課題として挙げている項目には、「環境」「国際理解」「世界遺産や地域の文化財」「気候変動」「生物の多様性」「防災」「エネルギー」などがあります。

これらはすべて、「持続可能な社会」をつくっていくために、知っておいてほしいことです。一つひとつのテーマは以前からあるもので、目新しいテーマではありませんが、「持続可能な社会をつくっていく」という目的を中心に置いて、バラバラではなく、総合的に考えていこうとするのがESDの考え方です。

湘南学園中学校高等学校が長年にわたってESDに取り組んできたことは、先見の明があったと言えます。実は学習指導要領にESDが位置付けられていることを知っている人は多くありません。すでに学校現場でESDが行われていたにも関わらず、教員ですら半数以上がそのことを把握していないのです。2008 年と 2009年に公示された幼稚園教育要領と小中高校の学習指導要領に「持続可能な社会の構築」の観点が盛り込まれ、さらに 2017 年と 2018 年に公示された各要領にはより踏み込んだ形で「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられました 。日本では、世界でも類を見ない全国的な取り組みとしてESDが行われているのです。ユネスコスクール・キャンディデート校(国内審査を終えユネスコ本部に申請中段階)となった幼稚園・小学校の新たなるESDへの取り組みを加え、湘南学園中学校高等学校のこれまでの取り組みを大いに自負し、自信をもって取り組んでいきたいと思います。

※ESD は、SDGs を達成するための手段であると同時に、SDGs を通して達成したい目標のひとつでもあります。

また、ESDは学校だけが担うものではありません。「ESDを効果的に推進するためには、ESDの実施を学校経営方針に位置付け、校内組織を整備して学校全体として組織的に取り組むこと、ESDを適切に指導計画に位置付けること、地域や大学・企業との連携の視点を取り入れること、児童・生徒による発信と学習成果の振り返りを適切に行うことなどが重要」(ESD⁻j)とあります。保護者の皆様(PTA)や地域を含めた学校外との連携をしながら取り組むことも確認しておきたいと思います。学校が地域や企業のハブとなり、人的物的資源を共有・活用して、「持続可能な社会の創り手となるグローバル市民の育つ湘南学園」として、ESDの日常化を進めていきたいと考えています。

日本でのESDは、学校教育の場を中心に、これからますます増えていくと思われます。持続可能な社会の創り手を育てるためには、子どもたちが世界にある課題を「知ること」が第一歩です。ご家庭でも、今からお子さんと一緒に、SDGsやESDについて知る機会をつくってみてください。きっとお子さんの学びを深めるきっかけになるはずです。