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「未来を共に創る学びへ――ユネスコ教育勧告と生成AI時代の教育哲学」

2026年1月13日

新しい年を迎え、皆さまのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

世界は今、かつてないほど複雑で、不確実で、そして相互に深く結びついた時代を迎えています。 その一方で、武力による紛争や支配が続き、人々の尊厳が脅かされる現実もあります。こうした状況は、平和の実現がいかに困難であり、同時にどれほど切実に求められているかを、私たちに強く問いかけています。

そのような時代に、教育は何をめざすべきか。 2023年11月に採択されたユネスコ教育勧告は、まさにこの問いに対する世界の合意とも言えるものです。 勧告は、平和、人権、多様性、持続可能性、国際理解、協働といった価値を、教育の中心に据えるべきだと明確に示しています。そしてそれは、単なる理念ではなく、私たちが日々の教育実践の中で育んでいくべき「人間のあり方」そのものでもあります。

教育とは、知識を伝える営みである前に、 人間性を尊び、他者とつながり、対話を通じて世界を理解しようとする姿勢を育てる営みです。 そこには、

– 他者の声に耳を傾ける「傾聴」

– 違いを尊重し合う「対話」

– 共に未来をつくる「協働」

– 民主主義を守り育てる「参加」といった、人間社会の根幹を支える価値が息づいています。

そして今、私たちは新しいパートナーを得ました。それが 生成AI です。

生成AIは、膨大な情報を整理し、複雑な問題を多角的に捉え、私たちの思考を補助する力を持っています。しかしAIは、人間の代わりになる存在ではありません。むしろ、人間の創造性・倫理性・共感性をより深く引き出すための“対話の相手” として、その可能性を発揮します。人間とAIが協働することで、

– これまで解決が難しかった社会課題に新しい視点が生まれること

– 多様な価値観をつなぐ対話が促進されること

– 子どもたちがより自由に、より深く学びを探究できることが期待されています。

つまり、生成AIとのパートナーシップは、教育の本質を揺るがすものではなく、教育の根底にある「人間を育む力」をさらに広げる契機となり得るのです。

学校という日常の学びの場は、未来の社会の原型です。そこで育まれる小さな対話、協働、気づきの積み重ねが、やがて世界の平和と進歩につながっていきます。 子どもたちが「自分も大切、相手も大切」と感じられる環境こそが、民主主義と共生の文化を支える土壌になります。

私たち大人は、子どもたちの可能性を信じ、彼らが安心して挑戦し、失敗し、学び合える文化を共につくっていく必要があります。そして、生成AIという新しい知のパートナーと共に、より豊かで創造的な学びの未来を切り拓いていくことが求められています。

湘南学園を取り巻く環境も日に日に厳しくなりますが、「育みの共創者」として、皆さまと共に子どもたちの未来を支える教育文化を創り続けていければ幸いです。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。