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第10回 先輩を見ながら育ち、後輩をリードして育つ②学園小学校のたてわり活動から

2018年5月10日

 学園幼稚園、学園小学校から、学園中学高校へ内部進学した生徒たちに大勢出会ってきました。前年度まで中1と中2に学年担当で久々に関わる中で、生徒たちの積極性や探究力に改めて感心する場面がいろいろありました。

 今年度になって小学校と幼稚園を訪れる機会が増えました。総合学園の一貫教育の魅力について理解を深める日々です。今日は学園小学校の教育について、特に「たてわり活動の指導」を中心にその素晴らしさをお伝えします。
 

 先月24日、小学校の全校イベント「交歓会」に初めて見学で参加しました。
 “砂のアートに挑戦する”交勧会は、今回実に第46回を数える伝統の小学校行事です。1年生から6年生までが1つのチームになり、互いに協力してその年毎にテーマに沿った砂の造形作品を創り上げ、新入生を全校児童で歓迎するという、1年間のスタートを飾る大切な全校イベントなのです。

 江ノ島を目前にした片瀬西浜海岸で、全校児童約600名が18班に分かれ「たてわり班」で作品を造りました。今回のテーマは「夢にみた乗り物」で、個性豊かなイメージから短時間にみごとに造形する様子に驚きました。毎年実施で培われたスキルとチームワークの高さを感じました。その様子を活き活きと報告する河本校長先生の「校長日記」をぜひご覧下さい。

 「交歓会」は広く上級生と下級生のつながりを深め、信頼と友情を深める機会でもあります。2年生から5年生にとってもふだん接することの少ない学年の子どもと交流して、新しい人間関係を広げるきっかけになります。
 作品を完成する「一体感」を共にしながら、広々とした湘南の海と江ノ島を前にしたきれいな砂浜で伸び伸びと頑張る児童たちの様子はとても感動的で、多数の保護者もご覧に来られていました。

 学園小学校では、入学式で6年生が新入生の手をひいて入場し、しばらくずっとお世話をするところから、卒業式で1年生が卒業生に感謝の気持ちをこめてお花を手渡しするところまで、年間を通して異年齢集団で縦のつながりを大事にした教育活動が展開されています。

 1~6年生をたてわりにした「なかよし班」は、月1回程度活動します。異なる学年の児童が一緒に遊んだりお弁当を食べたりして交流を深めます。行事の話し合いを重ね、コミュニケーション力やリーダーシップを身につけます。

 「交歓会」の準備も「なかよしタイム」で進められました。前日には翌日の作品づくりに向けての話し合いや班での並び方、持ち物、海に行く時の注意事項などが話し合われました。不安をなくすために高学年が先頭に立ち、わかりやすく説明しました。当日は手をつないで学園から海岸まで引率する姿がありました。

 特に6年生は入学式以来、1年生の学園生活の始まりに寄り添って、ほぼ4月いっぱいお世話をします。なかよし班で会話を重ね、時には登校時に手をつないで教室付近まで連れて行ってくれます。緊張して泣きそうな時も「大丈夫だよ」「頑張ったね」と声をかけます。上級生もこうした経験の中で成長していくのです。始業式から休み時間のほとんどを1年生と過ごしていた6年生もいたそうです。そうした様子が「小学校だより」や学級通信、そして「校長日記」などで活き活きと紹介されています。
 

 ここまで紹介した活動で成長した生徒たちが、中高の全校行事や生徒会活動で自分たちの経験を生かして大いに活躍します。小学校時代の児童会活動で様々な取り組みに参加したり、協力してきた経験の積み上げも大事な土台になっているようです。

 中学生入学式のあとに続く「新入生歓迎会」や、5月に高2から中1までのたてわり大集団によって展開される「体育祭」は中高生活最初の大きな舞台です。この様子については中高体育祭の後の回で紹介したいと思います。