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第34回 膨大なゴミを出す暮らしと社会のあり方

2018年9月8日

 「プラスチックのごみ」による深刻な海洋汚染のニュースが注目されています。今日はこのテーマを入り口に、地球環境の問題について取り上げます。

 街や川や海へと捨てられた「プラごみ」は、やがて紫外線や波で劣化してごく微小な粒へと砕けるそうです。それが海のお魚や海鳥の体内から大量に見つかり、生態系への影響が心配されています。

 海に流出するプラスチックは何と年間800万トン!各国の海岸に漂着するプラごみの起源は多国籍であり、さらに微小な「マイクロプラ」は回収が難しくて海底にたまっていくそうです。広大な海洋環境に甘える形で、海洋汚染がほとんど放置されてきた現実があるといえるでしょう。
 

 8月下旬には、アメリカの下水に流されたコンタクトレンズが年間最大33億枚に達する、との推計が発表されました。利用者約4500万人の2割弱の着用者がキッチンの流しやトイレに使用済みレンズを流した結果であり、一部のマイクロプラは水環境や地中に拡散中と判断されています。

 こうした報道を受けて、スターバックスやマクドナルドなど世界的な企業は脱「使い捨てプラスチック」の方針で、まずプラ・ストローの廃止を発表しました。欧州委員会は使い捨てプラ製品を規制する案を加盟国に示し、英仏など一部のプラ製品の販売禁止を決めた国もあります。別素材によるストローへの移行も進みそうです。
 

 でもストローは使い捨て文化のごく一部です。現代の消費生活では無数の使い捨てグッズが重宝されています。家族の人数が少なく、ごく少量の食品にも使い捨て容器が使われます。スーパーなど多種多様な小売店で、消費者の利便第一に無数の商品が生み出され、プラ以外の素材も含めて使い捨ての容器や道具がいろいろと使用されています。

 そして日常的には、膨大な食品や衣類が、消費されぬままゴミとして廃棄されています。日本の「食品ロス」は年間632万トン!国連の専門機関によれば、世界では生産された食料の3分の1にあたる13億トンが毎年廃棄されるのに、9人に1人が栄養不足に苦しんでいます。

 次々とモデルチェンジされる衣類の世界も深刻です。商品のブランド性を守るために流用安売りを避け、膨大な新品が焼却される現実もあります。
 

 「このままではいけない!」という反省や自覚が国際的に広がるなか、国際連合は2015年の総会で、「SDGs」を全会一致で採択しました。地球環境・経済活動・人間の暮らしなどを「持続可能」とするため、全加盟国が2030年までに取り組みとした行動計画の呼び名です。

 上記の「ゴミ問題」」はその複数の目標に関わる重大なテーマとも位置づけられています。この通信でも、SDGsの課題について時々取り上げていきたいと思います。