A Random Image

第35回 「空飛ぶクルマ」の開発が進む現代

2018年9月12日

 『ドラえもん』は、日本が世界に誇る偉大な漫画作品の1つです。

 わが子達が小さい頃は、毎年の映画新作の公開を楽しみにしていました。数々の<ひみつ道具>の中で、「どこでもドア」や「タケコプター」の魅力は抜群です。「個人飛行をかなえる乗り物」とは、あまりに空想的であり、実現してもはるか遠い先と思っていた矢先、「空飛ぶクルマ」の実用化が加速しているとの報道が増えてきました。

 子ども達もこの夢には大きな好奇心を持つことでしょう。今回はこの動向についてふれてみます。
 

 タケコプター的な個人飛行は、実際にはいろいろアレンジしても不可能なことだ、と研究者に指摘されています。しかし実世界での商品化は近未来の目標となっています。ドローンや電気自動車の普及により関連技術が進展し、欧米の航空機メーカーなど多数の企業が競争に参入して、長年の夢物語がにわかに現実味を帯びてきたのです。

 様々な試作機が登場し、「1~4人を乗せて空を飛ぶ」試験飛行も行われ、米国の先駆企業は数年後の商用サービス開始をめざし、日本も候補国の1つにあげているそうです。都市の交通渋滞を回避する事業として、行政の期待を受ける期待もあります。中東のドバイなどがまず注目され、日本でも先日「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、国土開発省や経済産業省が中心となり、多数の企業や関連団体が関わり始めています。
 

 市街地の上空を飛ぶには、安全基準や機体の認証、操縦者資格など、新たな基準づくりが必要になります。超便利でも生命に関わるリスクも大きいことは容易に想像されます。一方その利便も広い分野で期待されます。離島や過疎地への往来に使えれば、少ない定期便など移動困難な住民には大きな支援となり、ドクターヘリの代替や、外国人など観光利用などでも用途が広がります。

 この分野の専門家である東大の鈴木真二教授は、特集の記事で「無人地帯を飛ぶ物流から始めて信頼を広げ、試験飛行を続けて安全面の強化を検討していくべきだ」と指摘しています(朝日2018.8.19)。
 

 日本はいま全国各地で、鉄道やバスなど公共交通が縮小し、便利なクルマ社会の抱える問題も指摘されています。「過疎と過密」の克服は大きな難題です。 

 一方たとえばオランダでは、「自転車の復権」が推進され、環境に優しいライフスタイルが追求されています。ちなみに右の写真は、東京都国立市内にある「自転車専用ゾーン」です。いま日本でもできる取り組みも多いと思える一例です。

 「未来社会における交通のあるべき姿」について、特に次世代の若者や子どもに大きな関心を持ってほしいと思います。