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第78回 「湘南学園ESD入試」への願い

2019年2月23日

 今月初めは中学入試の期間でした。首都圏の多数の私立学校が一斉に選抜入試を行うシーズンです。複数回の受験機会を設ける私立学校、そして即日発表が大部分の首都圏受験です。午前・午後と連続受験した子ども達も大勢います。
 真冬の時期に、またインフルエンザ大流行の中で、ご本人とご家族の皆様にとってどんなに大変な祈りの期間であったことか。毎年かみしめる思いでこの過酷な時期を経ております。

 その中で中高一貫教育を進める湘南学園が、今回の中学入試でチャレンジした新しい取り組みについて、この通信でも紹介したいと思います。
 詳しくはまず、中高の『校長通信・第1405回』をぜひともお読み下さい。校長先生の熱い思いがストレートに伝わる内容です。
 

 2月1日の初日、従来の午後入試(国語と算数の2科受験です)に先立って、午前中に「湘南学園ESD入試」という新テストを導入しました。
 これからの時代にますます求められる<思考力・判断力・表現力>について、入試の場面でこそ今後の可能性も含めて評価できるような画期的なテストを導入してみよう!というねらいから実現したテストです。
 重要なテーマに沿って情報を集めて表現する力、全体の状況や課題を自分なりに考えて判断して見解をまとめてみる力。これからの社会で大切となる力について真っ直ぐ問いかける入試問題を探りました。従来の入試では問い切れなかった設問を準備し、受験生がどう向き合ったのかを複数の教員が時間をかけて評価し、合否の判定を行うものでした。
 

 中高校長も指摘するように、この新入試は現場の先生方の知恵と努力が集まって実現したものです。執行部の提起を受けて教員会議では積極的な発言が寄せられ、「新入試プロジェクトチーム」が結成されて、多数の教員が参集しました。
 日々の業務が終了後に何度も会議と作業を重ねて「手作りの新入試」を模索しました。受験した皆さんが「受験して良かった」と思える入試にもしたいねとも合意されました。

 そして「動画の提出」と「記述・論述試験」の二部構成から入試が実施されました。詳しくは中高ホームページをご参照下さい。翌日にかけて入念な判定作業を行った先生方は、受験生とご家庭の様々なエピソードや受験生個々の豊かな個性発見など、振り返りの時間にも確かな手応えが共有されていました。
 

 ESDとは「持続可能な社会の担い手を育てる」という中高の現在の大きな教育目標であり、湘南学園の建学の精神を未来へ向けて具現化する指針です。当日の記述・論述問題では、国連が掲げた人類の共通目標である「SDGs」の17ゴールに関するテーマが出題されました。
 ESDを推進する上で、始めの中学入試の改革も課題になっていくと認識して挑戦した現場の先生方の意気込みに感銘を受けました。

 入試全体では前回に比べて300名以上も受験者数が増加し、各回の合格競争率は相当に厳しくなりました。受験の選抜とはいえお迎えできなかった受験生とご家庭には申し訳ない気持ちでいっぱいです。受験して頂いた全ての児童の皆さんと保護者の皆様、応援に来て下さった塾の先生方をはじめ関係者の皆様に全学を代表して改めてお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。