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第81回 家族の歩みをたどる写真アルバム

2019年3月6日

 3月と4月は、学校をめぐる社会では、「卒業」や「入学」の節目を迎えて、「記念写真」がとても大切になる時期といえるでしょう。

 本人ひとりで、クラスメイトや部活仲間、様々な友だちとのかけがえのない写真たち。そして特別に大切な家族と一緒の写真。今回はこのテーマについてふれてみたいと思います。
 

 旧式カメラの時代、カラーフィルムを別に買って入れ、全部現像した中から選ぶ手間は当たり前のことでした。高性能のデジカメが急速に普及し、気軽に保存できてプリントアウトも無駄なく選べるようになった便利さは、本当に感動的でした。今も街歩きなど外出時にデジカメはかかせません。

 更にスマートフォンが登場して一気にメジャーとなりました。どんどん撮って、様々な「SNSのツール」を使って簡単に周囲に発信し、遠く離れた大切な人にも送信できるようになったのです。一方で撮った写真がどんどん増えると、その整理の問題も出てくるようになりました。

 それでもご家族では、大きくてずっしり重たい「写真アルバム」を何冊も保管されているご家庭が多数派ではないか、と思われますがいかがでしょうか。

 お子様の成長やご家族の軌跡の記録として、アルバムは大事な物だと思われます。1回の小旅行など少ない枚数なら、「特集冊子」に収納してあってすぐに楽しめるでしょう。軽装のミニアルバムもずいぶん普及したと思われます。
 

 自分の息子と娘の結婚が続き、子ども時代の写真を収納した大型アルバムを久しぶりにじっくり観る機会がありました。何という懐かしさ!楽しい想い出に彩られた家族の写真は本当に宝物です。家族や親族と、友人と撮った1枚1枚から当時のことがよみがえります。わが家のたどった歩みや生活スタイルをしみじみと振り返ることができます。

 「あの時はあんなだったね」、と想い出話に花が咲く時間は格別です。親が残してあげられるすごく大切なものなんだ、と改めて気づかされます。
 特に子どもたちが両親への感謝の気持ちを新たにし、これから自分たちの家族の歴史を築いていく自覚を新たに持ってくれることが嬉しいものです。
 

 ここで、東日本大震災のことが思い出されます。発生から8年目の区切りが近づいています。ご遺族の方々が、被災地で見つけられたわずかなお写真を、ご家族の記憶の証としてどんなに大事にされていたことか。その光景が広く報道されました。あの時のあまりに切ない光景は忘れられません。
 

 家族の絆とは、一人ひとりの人生を支えてくれるかけがえのない土台です。ずっと後世になってから価値を増す、「家族の写真アルバム」を大切にしたいものだと改めて思います。