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第95回 視野をグンと広げる海外渡航の体験

2019年5月18日

 湘南学園中高は、この約15年間で「海外で世界を感じる」グローバル・セミナーズのプログラムを着実に広げてきました。
 夏休みや春休み期間を中心にこれまでの実績では、カナダ、オーストラリア、イングランド、韓国、台湾、ポーランド&リトアニアなどへ数日間~2週間の海外体験を経た学園生が増加しました。
 また姉妹校への中期留学や、国際ロータリークラブを通じた1年間交換留学制度を利用して長期留学の海外生活を体験する中高生も毎年出ています。提携先は世界各国にまたがります。そして現在の中学新入生から中3段階で全員が海外研修旅行に出かける予定です。

 今回は、自分のわずかな海外渡航歴も踏まえて、海外生活を短期間でも体験する意義や魅力について述べてみたいと思います。
 

 自分の初渡航は1980年代半ばの中国新婚旅行です。初めて乗った飛行機が離陸する瞬間、怖くて大声を出した恥ずかしい思い出があります。当時の中国はまだ「人民服」や自転車が主役で、自動車も少なく馬車も現役でした。北京・上海・蘇州・杭州とメジャーな観光ルートでしたが、片言の中国語を生かして妻と街中を行動する機会もあり、毎日が新鮮な出会いで感無量の体験でした。

 その後教員の仕事の機会に恵まれて、カナダセミナーの下見と初回で日付変更線を越えました。片言の英語で会話に努め、ホテルや協力校の周辺地域で関係者や住民と交流できました。概してアジア系にも優しい視線に安心し、「多民族国家」カナダの懐の深さや大自然の美しさに魅了されました。
 同様に英語圏のオーストラリアセミナーにお邪魔した時も、ゆったりとした街路や住宅地の雰囲気に惹かれ、中国系やインド系の住民の多さに気づきました。素敵なメルボルンの街歩きはこの先のお預けになりましたが。

 英語特区を設けた韓国の済州島を視察した時は、韓国固有の文化にもふれ、日韓関係について考える機会に恵まれました。
 「米国トップランキング大学視察」のツアーに行かせてもらったのは数年前のことです。サンフランシスコとボストンを拠点に超有名大学を歴訪でき、短時間ながら米国社会の様々な姿を垣間見ました。移民大国アメリカの凄さと大変さを肌身で感じて帰国しました。
 

 「百聞は一見に如かず」という金言を反復します。ひと時代前とはいえ若くして渡航機会のなかった自分に比べて、チャンスに恵まれた学園生には在学中にぜひ海外渡航を体験してほしいと願うものです。
 しなやかな感性や好奇心に恵まれる若いうちこそ、直接に異文化に出会う体験はかけがえのないものです。海外セミナーに参加した中高生が現地での交流や学びがいかに新鮮な体験であったかを笑顔で語ってくれるのを聞くたび、ぜひもっと多くの学園生に!との思いを強めてきました。
 

 海外生活を体験すると、民族や言葉も食生活や日常習慣も「こんなに違うんだ」と驚く一方、人間としての喜怒哀楽とか、親切や良心などはちゃんと共通するんだという安心も感じることでしょう。

 そして日本のいろいろな文化の魅力にも改めて気づくのではないでしょうか。帰国して日本の食生活や街の様子が懐かしくいとおしくなり、逆に改善すべき課題にも気づいたりするものです。日本人が懸命に積み上げてきたものへの敬意を新たに持てることも大切ではないかと思われます。