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第100回 小学校時代の体験から

2019年6月5日

 学園小学校に行くと感心することがたくさんあります。
 まず開放的で充実した教育環境です。「校舎が子どもたちを育てます」という説明に共感します。 そして「本質を学ぶ授業」「本物に触れる授業」を大事にする様子が伝わります。小学生たちの知的な好奇心や探求心を育む方針が一貫しています。

 多彩な体験学習や集団活動も大事に展開されます。仲間とともに成長するエネルギーが頼もしいです。朝から着替えてグラウンドで元気に遊ぶ光景にも「学園生らしさ」があふれています。

 自分の小学生時代がふと思い出されます。半世紀以上も前のことながら共通する大事なことに気づかされ、学園小学校、そして先行する学園幼稚園の教育力に敬意を深めることが多々あります。今回はそんなテーマについて述べてみたいと思います。
 

 自分は小学校6年生の始めまで、長野県松本市郊外の小学校に通いました。
 校舎の周りに大きな川や林があり、山間部も近い立地でした。校内には花壇や畑や飼育する動物の施設があり、全クラスがどこかの区域を分担しました。全校の落ち葉を集める「堆肥場」まであり、立派な匂いがしたのを想い出します。
 一番北側の校庭は、冬に降った雪を踏み固めて放水して、天然のスケート場をこしらえました。安価な「下駄スケート」が主流で足が冷えました。校舎内の児童掃除は徹底的で、廊下をぴかぴかにする雑巾がけがゲーム感覚でした。

 一番自慢できるのは、「歌をうたう」「本に親しむ」「作文を続ける」ことが大事にされたことです。全校集会を始め、ことあるごとに「校歌」及び県歌『信濃の国』を歌わされました。朝と帰りの歌があり、『NHKみんなの歌』まで生活の友でした。読書が幅広く奨励され、日々の学校生活や家庭生活を題材に作文を書く機会が実にいっぱいありました。有名な「信濃教育」の伝統を受ける、熱心な初等教育に恵まれたことはありがたいことでした。

 その後、小6時代に家庭の都合で東京都台東区下町の小学校に転校しました。グラウンドは狭くてコンクリート製でした。信州時代に親しんだ野球はマイナーで、サッカーと相撲が主流でした。授業では美術の時間をまず想い出します。毎時間「クロッキー」を指示されましたが、先生が作品を高く評価してくれて自信になりました。卒業記念で描いてくれた肖像画はお宝でした。
 

 学園小学校の全校集会は、サッと児童の歌声から始まります。そのはつらつとした歌声は本当に素敵です。読書が常に奨励され、教室や廊下にも本が配置されています。学級通信や学年通信が旺盛に発行されています。小学生たちの課題作文や感想文やつぶやきが見事にすくい出されて、担任や担当の先生の温かい共感やコメントが寄せられています。

 スマホ時代になっても、屋外で元気に友達と遊び、運動する光景は変わりません。学園幼稚園時代から「自分たちで工夫して遊ぶ・探求する」体験を豊かに身につけた子ども達が周りをリードする場面もいっぱいあることでしょう。幼稚園時代から動物や虫や木の実など、自然にある物といっぱい触れ合ってきた学園生たちは生活感覚が豊かだなと感じられます。

 そうした様子から昔の子ども体験が想い出され、強い郷愁をも感じさせられます。学園小学校、そして学園幼稚園の持つ豊かな教育力について理解を深める思いになります。