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第110回 生徒達の授業づくり・高1保健

2019年7月10日

 ICT機器を活用する授業の取り組みが、湘南学園の中高や小学校で急速に広がっています。その一部を見学する機会がありますが、今回はその中から、先月に参観した高校1年生の保健の授業実践を紹介させていただきます。
 
 新しい試みでした。生徒達は数名のグループに分かれ、分担で自分達が受け持った単元の内容をどう扱うのか構想を話し合います。この予習とプレゼンの機会が相まって深い理解につながります。もりこむ説明文や関連図表を選んでパワーポイント資料にまとめます。そして授業者となってクラスメイトの前に立つのです。

 私が見学した時間帯では、「生活習慣病とその予防」の単元が主題でした。グループの生徒達は、生命を脅かす病気の種類、「生活習慣病」という用語が従来の「成人病」と変わって導入された背景、日常生活に関わる「一次予防」が「二次予防」の前段階で重視された背景など要点をふまえ、具体例をあげてなかなか的確にまとめていました。
 受講する生徒達はクラスメイトの発表に集中し、各自の端末を使用して関連する教材を読んだり、発表班の用意したアンケートに応えたりしていました。
 
 その後、担当教員の斉木先生が単元内容のレクチャーを、パワーポイントを使って補足的に簡潔に展開しました。日本と世界の関連図表や実態資料にもとづく明快な説明でした。ご自分の健康診断結果の実例もパワーポイントにあげて、現在の健康状態や意識にもふれる興味深い説明がなされ、生徒達を惹きつけていました。
 さらに最後の時間帯で、重要な用語や概念を定着するためのワークドリルも行われていました。授業班の出来には差もある中で、統一した学習内容を保障するバックアップが授業内に組みこまれていました。

 この単元では生徒も大人も、食生活、睡眠や休養、飲酒や喫煙など、現在の日常生活を振り返る機会となります。生徒達の依頼により、身近な先生方へのアンケートを依頼するお願いもなされたことを知りました。
 
 担当教員から、授業づくりで大切にしているのは、ICT機器に依存するのでなくてそれを上手に活用し、お互いが興味や関心を持てる内容を授業に組みこんでいくことだ、との願いをお聞きしました。体育実技の授業担当というメインのお仕事もありながら、週1回の保健の授業でこうしたフレッシュな授業に着手していることに改めて敬意を持ちました。

 高1では各自が端末を持つ環境の中で、諸科目で新たな取り組みが広がっています。1時間だけの見学でしたが、生徒達はよく内容に集中し、新しいスタイルの達成感を確実に持っていた印象でした。教員と生徒が創意工夫をこらしながら、活気ある授業づくりに取り組む様子に新鮮な感動がありました。