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第117回 卒業生と語り合って課題を考える

2019年9月14日

 前回に続いて今回は、先日行われた全学教研について、午後の部の様子を紹介いたします。

 お昼に参加者一同は、学園カフェテリアで、湘南食育ラボの方々が用意して下さった、季節感あふれる美味しいランチをいただきました。

 中高ホールに戻って午後の始めに、小学校の先生方から「子ども理解を深めるために」というテーマで、パワーポイントを使った実践報告がありました。
 全校の子どもたちの状況とどう向き合い、どんな協力体制を組んで様々な問題と関わり、寄り添いと指導の充実をはかってきたのかという、体系的なレポートでした。学園小学校の歴史的な歩みについて、中高や幼稚園の教員も大いに理解を深める機会となりました。
 

 続いて「パネルディスカッション」が、実行委員長の司会で行われました。パネラーは、講演者の木村泰子先生、コメンテーターの佐藤隆先生(都留文科大学教授)、卒業生の宮本紗瑛さん、同じく卒業生の秋山海くんの4名です。

 佐藤先生は、湘南学園全学教研の共同研究者として長く関わっていただき、毎回の全学教研に対してご指導、ご助言を寄せていただいてこられた方です。
 二人の大学生は、幼稚園から高校までずっと学園生活を送った生粋の卒業生です。今回のテーマ設定について、実際の学園のことを深く知る二人から率直に学園教育の良い所や克服すべき所、教員側に自覚してほしい課題などを聞かせてほしいと考えました。在学中には対照的な部分もあった二人でしたが、現在宮本さんは地域で学習支援の社会的な活動に取り組み、秋山君は学園小学校のアフタースクールで学園生のために大いに貢献してもらっています。

 幼小中高の教員も、懐かしい卒業生との再会を喜び、そのたくましい成長ぶりに感動していました。大震災の時のエピソードなど改めて事実を知ることもありました。
 当時の授業や総合学習など「勉強」のこと、校則や教員・生徒の関係で感じていたこと、将来への意欲を持った転機のことなど、学園時代のポイントについて事実や本音をいろいろ語ってもらい、「学園は誰のもの?」という今回のテーマを深めたいと考えました。
 木村先生及び佐藤先生とのトークはとても盛り上がり、聴き手は多方面から触発されました。
 

 そしてここまでのプログラムを受け、参加者は4~5人ぐらいを基本に分かれて「グループトーク」を行ってもらいました。まず近くの方々と組んでもらい、次のラウンドでは幼小中高にまたがるようなメンバー入れ替えもして、自由に語り合ってもらいました。
 各パートの学園生の問題状況、最上位の目的をめぐる合意形成の実状など率直な話題が交流され、他パートへの理解も深め合い、今後の学園全体の方向性を自由に議論する機会となりました。

 全学教研の最後に、佐藤隆先生から、まとめの講評と今後の課題についてお言葉をいただきました。
 昨年と今年の全学教研を通して、湘南学園のこれからの教育について根本的な問題提起があったことが指摘されました。学園は独自の私学であり様々な困難があるから無理なことだとするのか、提示された教育の視点に沿って本格的な協議を進めて改革に着手するのかが問われていること。その際に「子どもの事実」を起点にした振り返りの徹底が必要であり、本当に必要な仕事を確認して集中して深めていくべきこと。
 フィンランドなど先進国では「見えない学力」も可視化して子どもが取り組む課題が出され、教員も卒業までの指導課題を深く認識しており、「見える学力」との相関関係も含めて教育研究を深めるべきこと。今回の教研に関わる本質的な課題をご教示していただきました。
 
 この全学教研に連なる、教員の振り返りと話し合い、改革の方向についての合意形成がこれから大切であることを改めて痛感する、貴重な学びの場となりました。