A Random Image

第125回 「食品ロス」日々の暮らしと世の中

2019年10月12日

 「食品ロスの削減の推進に関する法律」が、10月1日から施行されました。
 「食品ロス」をどう減らすかは、地球規模の大きな問題であるとともに、誰もが身近な生活の問題として受けとめるべきテーマでしょう。
 ご家庭や親子でもふだんから取り上げていただけると、広い社会のつながりに目を向けていける「教材」にもなります。今回はこの課題にふれてみたいと思います。
 
 日本の食品ロスは近年、農林水産省等によると年間6百数十万トン、飢餓に苦しむ人びと向けの援助量の2倍近くあるそうです。膨大な食料を輸入に頼る日本にとって、その国際的な責任も自覚しなければなりません。
 国連食糧農業機関によると、世界の食糧生産量の約3分の1が毎年捨てられていると知って驚きます。そこで「SDGs」は、世界全体の1人あたりの食糧廃棄を2030年までに半減させる、と掲げています。
 
 先進諸国では、まだ食べられる食品廃棄の禁止や慈善団体への寄付義務化、「フードバンク」活用促進の法制化などが広がっています。
 今回の「食品ロス削減推進法」をきっかけに、日本の小売業界や広範な飲食店、さらには地方自治体などが、踏み込んだ動きを始めています。
 「消費期限の迫った&切れた食品の格安販売」は最も代表的でしょう。「在庫と消費者をつなぐネット通知」、「季節商品の完全予約制」、「食べ残し持ち帰りの奨励」なども広がっています。
 売れ残りや規格外品の野菜などが、農家や農業団体の支援を受け、市民ボランティアによって配送され、子ども食堂などの運営団体に届けられる事例なども多数あります。生活困窮者の家庭への支援も様々なルートで広がっています。
 

 一方で罰則を伴わず強制力のない今回の立法に沿って、私達消費者の意識もまた切実に問われています。
 「あの商品はなぜ在庫がないの? 」と言われたくないお店は「品揃えの良さ」をどうしても目指し、客足を減らさないようにと祈ります。鮮度を気にし過ぎるお客さんは少なくありません。お店の棚の奥にある「期限がずっと先」の商品ばかり皆が取っていたら「食品ロス」は更に増えるばかりです。
 自分も食が細くなり、冷蔵庫の状況も見て、「ついつい買い過ぎない」行動を前よりは心がけています。また「なるべく棚の手前の方から食品を取る」スタイルを意識しています。「一番手前にあった牛乳」だって数日後には飲みきれるからです。
 
 ご家族でスーパーなどに買い物に行かれる日常の場面も大切な機会でしょう。家の冷蔵庫や棚を見て親子で会話する際にも、食品ロスのことは否応なく自覚されることでしょう。
 毎日の食生活を通じて、食を通して広く世の中、日本と世界のつながりにも子どもの頃から目を向けていけるものです。広く「食育」の一環としてご家庭の日常の場面でもふれていただきたいなと思われます。