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第140回「湘南学園生に育みたい力」を考える

2019年12月4日

 湘南学園は、長い歴史と伝統に恵まれ、幼・小・中高を併せ持つ総合学園です。入学と卒業の時期はそれぞれ違いもありますが、最長で15年間もの学び舎で育っていく学園生もいます。

 湘南学園全体を通して、「最上位の目標」の設定をめざし、パートを越えて幅広く教員が語り合う機会を大切にしていこう。そうした願いが現場に高まりました。毎年夏に行う「全学教育研究集会」でも、全国で注目される先進校のリーダーを連続でお招きして課題意識が深まり、活発な議論が進んでいます。
 
 これからの社会の動向への大きな関心が広がっています。総人口が減少し、高齢化少子化のスピードで日本は突出しています。「スマホ時代」情報の氾濫は孤独を逆に広げ、人工知能の普及と職業の再編が予想され、自国中心主義と国際協調の後退に世界は心配を募らせています。

 しかし同時に、「持続可能な社会の再構築」が人類の課題として深く自覚され、国境を越えた交流や協力がさまざまな分野で進展しています。次世代の若者達にそうした希望や努力を伝え、出会いや体験、探求をサポートしていくことが先行世代の大事な務めではないでしょうか。

 日本の公教育全体、そして湘南学園も改めて建学の精神を深め直し、学園生の学びと成長を第一の優先目的として現状を分析し、従来の教育内容や指導体制の見直しを進めるべき時代に入っています。厳しい予測にまけない学園生の未来のための教育の充実をはからなければなりません。さまざまなチャレンジを奨励し、失敗も糧に手応えを重ね、生涯にわたって「学び続ける」積極性を身につけてほしいと願うものです。
 
 建学の精神にもとづく上位の教育目標として「学園生に育みたい力」を、全学を通して以下のように掲げたいと考えます。
 (1)人を大切にして、つながりを広げられる力、(2)自分の考えを深めて、さまざまな機会に表現できる力、(3)主体的に行動して、新たな課題にチャレンジできる力、以上の三つの力です。

 人それぞれに個性があり、気質や性格の違いがあります。でもこれらの力は普遍的に大切なものであり、情報化や孤立化の進む社会において自分を守り、人生の可能性を広げていく上で、ますます重要な「人間力」の内実となるものではないかと思われます。

 出会いを大切に、多様な立場や文化も受容して対話や交流を楽しめること。読解力や思考力を伸ばし、プレゼンの機会も重ねて個性を表現できる手応えを重ねること。自分の生活と時間をコントロールして自分の意志で行動を選べること。時には勇気を出して踏み出せること。

 湘南学園の子どもたちの学び・体験と成長を、そうした視点から統一的に捉え直していきたいと考えています。