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第141回 良書との出会い~図書見本巡回で

2019年12月7日

 湘南学園は、読書に親しむ学園生の成長を期待し、重視しています。
 中高や小学校の図書室環境はとても充実しています。幼稚園でも多数の絵本や児童書が用意され、読み聞かせが奨励されています。
 今回は、中高図書室に関連して一昨日行われた「図書見本巡回」における出会いについて紹介いたします。
 
 中高図書室の魅力はまず、多彩で洗練された「書籍紹介コーナー」の工夫と、大グラウンドが見える、本当に開放的で明るい室内の雰囲気です。

 入室して正面にはいま、中高の先生方が「とっておきの1冊」を紹介し、その一節を朗読したテープまで視聴できる特設コーナーがあります。注目の新刊コーナー、「ハリポタ」シリーズやクリスマス準備の特集コーナーにも惹かれます。

 “探したい本が見つかりやすい”工夫が徹底され、パソコン検索や動画視聴も充実し、部屋全体の“ワクワク感”が素晴らしいです。生徒会図書委員会の中高生達がさまざまな実務や企画運営で自主的に活躍してことも、中高図書室の魅力とエネルギーを高めています。
 
 「図書見本巡回」は、数多くの出版社が心をこめて制作した注目の新刊書が各ジャンルにわたって陳列され、中高教員が担当教科や関心の強い分野を中心に“中高生に手に取って欲しい、読んで欲しい”本を自由にセレクトし、その後の学校購入につなげる仕組みのイベントです。

 自分もなるべく毎年参加したいと思う貴重な機会です。中高社会科出身なのでその関連書籍がまず気になりますが、幅広く手に取ってみるようにします。

 今回改めて衝撃と感動がありました。“本当に素晴らしい新刊がいまも続々と登場している!”“独りでも多くの生徒に知って欲しい読んでもらいたい”と強く思い立ち、次々と予定ボックスに気になる本を入れていきました。衣食住の歴史、SDGs紹介、貧困と援助、若者と労働、さまざまな人生、お金やネット世界の現状など様々な分野にまたがりました。
 
 自分は時々大書店に立ち寄りますが、こうした素晴らしい新刊書籍にまとめて出会う機会は稀なことです。偶然の出会いは乏しく、新聞の書評や誰かの推薦が頼りです。

 スマホ・ネットの隆盛で「電子書籍」の流通が進み、従来の書籍がなかなか購入されず、町では書店が次々と閉店に追いこまれている流れが心配です。

 しかし出版の世界に生きる人たちは、現代の人びとが切実に悩み、詳細な知識や解決の方向を求める様々なテーマを正面にすえて、大変な熱意をこめて新刊書籍を制作しています。特に中高生や10代の若者が興味を持って読んでもらえるよう、本のタイトルやビジュアルな構成、独自の装丁などに至るまで工全て工夫を凝らして1冊の本を仕上げているのです。
 
 まず重要なのは、「学校図書館」の役割であり、我々教員や大人の推薦ではないでしょうか。子どもや若者に「こんな本があるよ」と具体的に紹介し、薦めることが切実に求められていると思われます。限られた時間を大事に、自分でコントロールして、読書の楽しみや充実感も各自で広げてもらいたいです。 
 膨大な情報が氾濫し、断片的な知識や情報が浮沈しています。じっくり知の世界に向き合える良書の普及をもっと大切に考えて、身近な努力を心がけていきたいと思います。