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第143回 活気あふれる調理実習と食育

2019年12月14日

 小学校の家庭科の学習は5年生から始まります。様々なテーマで実習を大事にしながら、衣食住に関わる学びを通して生活に必要な知識や技術を身につけていきます。
 身の周りの衣料品を手作りしたり、地球に優しいエコライフを考える取り組みがあり、調理の基本や栄養や食の安全について深く学ぶ調理実習が行われます。

 先日、柔らかい日ざしに恵まれた家庭科室で、短時間ですが5年生の調理実習を見学しました。その素敵な光景から紹介したいと思います。
 
 「ごはんと味噌汁」という和食の原点を大切にする丁寧な献立でした。

 毎年お世話になっている相原農場で田植えをし、草刈りに出かけ、稲刈りを体験して収穫の喜びを得たお米です。
 農家の方の指導と米づくりへの思いをお聞きし、鎌を使って刈り束を渡して結う作業を進めたことは忘れがたい体験になったことでしょう。脱穀や精米を経てついに「自分達のお米」を食べるのです。

 味噌も手作りです。大豆を煮込んで麹と塩を混ぜて密封し自家製味噌が出来るまで、「こんな過程があるんだ!」と五感を使う学びを大事にします。独特のにおいや変化にふれ、純粋味噌の奥深さや独特の味わいを体感するのです。
 
 女子も男子も班の協力を基本に、家庭科の先生の指示と助言に集中しながら、実に和気あいあいと実習していました。
 「だし」にはちゃんと刻んだ煮干しが使われ、包丁もしっかり使って野菜などの具材を切り、段取りを相談しながら楽しそうに進めていました。
 わかりやすい実習関連の板書。整然として清潔な調理室の環境。エプロン姿の意欲あふれる子どもたち。学年保護者のお母様の方々がボランティアで参加してくださっている光景も、本当にありがたく素晴らしい雰囲気でした。

 パッケージの「チンご飯」やフリーズドライの味噌汁商品も普及する現代、一から手作りの食の世界を知り、その豊かさに気づくことは大切な食育です。この体験をご家族の人たちに伝えて会話がはずむことが期待されます。
 
 この学びの成果を継承して、中高ではまた多彩な調理実習と食育が展開されます。隣接するカフェテリア及び運営主体のNPO法人食育ラボとの「コラボ授業」が進められます。中学2年生と3年生、高校2年生と3年生で今年度も独自の実習が行われています。その様子はまた後日に紹介したいと思います。