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第149回 将来の進路や仕事を選ぶ

2020年1月18日

 中学~高校の時代は、将来の進路や仕事について、自分なりに考えて選択することを本格的に求められる時代といえます。

 周りの友だちの動きに刺激を受け、時には親や教員の助言を受け、世の中にあふれる膨大な情報に接しながら、出来るだけ具体的な進路目標を持てると元気になれることでしょう。将来の希望につながるルートを意識して進学先を選び、受験やその先の採用の関門をのりこえようと努力していくのです。

 でも進学後もなかなか方向性を定めきれずに「就活戦線」で苦労したり、就職後にすごく悩んで新たな方向を探して転身することもあります。
 仕事を通じて自分の個性や持ち味を生かし、人びとの暮らしや社会のつながりに貢献できる手応えを得る。そんな職業生活を確立することは一人ひとりの切実な願いであると思われます。

 今回はそんな課題に向けて、自分の進路選択の軌跡をまっすぐ紹介して生徒たちを励ます、中高教員のメッセージの例を紹介します。最近のある学級通信に、“僕が進路を決めたとき・・・”という掲載された文章について、その概要を紹介させていただきます。
 
 その先生は、中学3年まで理科や数学は苦手だったそうです。それが「メンデルの遺伝の法則」を授業で習った時に初めて「理科っておもしろい」と思い、興味が自然界全体に広がり出したそうです。大学では生物学の分野を学びたいと願い、理科と数学の復習もしっかり始め、友達や先生への質問も増えたそうです。

 そして高校の化学の授業で「周期表」を学んで衝撃を受け、壮大な自然のしくみを解き明かせる事実を知り、興味は化学に完全にシフトしました。関連の強い物理学や数学も大事と一生懸命勉強し、苦手な数学は通学の電車でも向き合いました。

 高2になり、進路選択をめぐって「化学に関する仕事」とともに「カウンセラー」にも興味が出ました。「化学の先生になれば両方できる」ことに気づき、進学の方向も決まりました。大学では物理化学・分析化学・無機化学・有機化学を豊富な実験とともに深く学ぶことができました。
 教職に就く苦労も経てもっと深めなければと大学院に進学し、朝から晩まで実験室で追究する時代を経て、高校時代に抱いた夢を叶えて教員になったのです。

 そして縁あって皆さんに出会うことができてうれしいです!とここまでの軌跡が述べられていました。自分はたまたま学校の授業で夢と出会ったが、夢に出会うきっかけはいつどこにあるかわからない、だからいろいろなものに目を向けていこう!と結ばれていました。
 
 生徒から見て、身近な担当の先生からこうした具体的なガイドやメッセージを届けられることはとても刺激になり、参考や励ましになることでしょう。

 教員だけでなく、その子と関わる親もふくめた様々な立場の大人が、誇りや失敗もふくめて自分の足跡を語る機会を心がけていきたいものです。そうしたたくさんの生の情報やアドバイスを総合して、それぞれ各自の夢を大きく温めてもらいたいです。