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第150回 子どもの反抗や悪態に向き合う

2020年1月22日

 子どもが言うことを聞かない、いつも乱暴な言葉を返してくる状況に、親や教員は悩むことが多いものです。学園生のお母様からもそうしたお悩みをお聞きする機会が時々あります。

 幼児期や思春期で「反抗期」をくぐることは、子どもから大人へと成長する過程で誰もがそれなりに通る道だと理解はしていても、わが子や担当クラスの子どもとの関わりに心労の重なる日々は本当につらいものです。今回はそうした事態に対する親の受けとめや対応について述べてみたいと思います。
 
 小学校高学年から中高生へと向かう時代、不意に来るわが子の変化や態度にとまどうことがあります。男子なら「ウルセエ」「クソババア」といった暴言とか、女子なら父親に対する冷たい拒絶の意志などが想起されます。注意や叱責をすれば倍返しされることもあります。時には家の中で荒れたり家出したりすることもあるのです。

 そうした時に正面から言葉で対峙するのは難しいものです。本人の気持ちを察しきれないなら、まず我慢して受容し、間をおいてからコミュニケーションに努めることが大切でしょう。お詫びや助言の言葉をメールやメモで届けることが有効な時もあるかもしれません。母親と父親の協力や支え合いが切実に求められることもあります。

 親として日頃の関わりの中で、「あれもダメこれもダメ」とか「ああしなさいこうしなさい」と命令や指示がいつも先行し、子どもの不満や不平が積もっていないか、振り返ってみることが大切ではないでしょうか。

 学校の対人関係、勉強や成績のこと、容姿や進路のこと、大きな悩みが背景にあることも多いものです。反抗期に入れば理不尽な説教や叱責に対して反発するのは当然のことです。逆に信頼する親や教員の厳しくも慈愛深い言葉には、従順になり受けとめる柔らかさも持っているものです。
 
 親子のふだんの会話では、聞き役に努めることがまず大切だと思われます。
 「親」という漢字が「木に立って見る」というつくりになっていることは肝心です。わが子が何かつぶやいたり伝えたりした時に、復唱して「の」をつけて返してあげようとの指摘があります。「嫌なことが今日あったんだ」と言われたら「嫌なことあったの?」と促してあげる呼吸です。それにつられて話を続けてくれれば、聞いてもらえるだけで気持ちが軽くなり、解決へのヒントが自分で見えてくることもあります。先回りしてたたみかけてはいけないのです。

 親の愛情を確認するためにわざと乱暴に言って反応を確かめることも多いものです。無愛想でも親を信じているから安心してブーたれるのです。さまざまな言動の背後にある悩みを察し、気持ちをまず受けとめようと努め、親からのメッセージをどこでどう届けるか熟慮することが大切でしょう。
 
 感情のコントロールがまだ出来ず、まとまった言葉で自分の気持ちや願いを伝えきれない苛立ち。そうした屈折をつかみ、子どもが判る言葉を選び、辛抱強く待ちながら関わり続けるなかで、子どもは試行錯誤しながら成長していきます。そしてどこかで嵐も収まり、心おだやかな様子やぐっと成長した姿にちゃんと出会えるものです。