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第167回 希望の広がる新年度を願って

2020年3月21日

 新型コロナウイルスの大流行は、世界に深刻な影響を広げています。

 当初は中国と日本をふくむ東アジアの状況が注視されました。現在では欧州諸国や米国でも感染者が驚くほど増加しました。中東やアフリカ諸国など全世界的な広がりまで伝えられています。
 グローバル社会のあり方が「パンデミック」の危機を加速したともいえるのでしょう。そしてその対策のため、逆に国境を越える人の移動が一気に規制されるという流れになりました。世界経済への打撃も心配されています。観光や貿易、国際交流や文化活動、学校教育まで一斉に困難になりました。海外渡航から外出まで禁止が広がりました。そして多数の人びとが様々な仕事を失い、収入を断たれるという危機的な事態なのです。

 先進諸国は、こうした健康危機への備えは大丈夫だろうと思われていたのでしょう。それがかつてない厳戒体制がとられ、日常生活が大幅に統制される方向となりました。日本でも「緊急事態宣言」を発動できる法改正がなされて、東京五輪パラリンピックの開催をめぐる最終判断がどうなるのかが大きな注目を集めている状況です。
 
 湘南学園も全学の臨時休校を続けてきて、そして春休みの時期を迎えました。4月からの新年度へ向けて、出来るだけ例年通りの形でスタートさせることができたらとの願いを持ちながら、政府の専門家会議の判断や文部科学省など行政からの方針指示を注視し、保健所や学校医などの見解を総合して検討することが必要です。その先の情勢の変化にも留意しつつ、当面する時期の判断・連絡を学園生や保護者の皆様にお伝えすることになります。

 この3月は、新型コロナ関係の全学対策会議を続けながら、順に高等学校、幼稚園、小学校、中学校と、卒業式や卒園式を実施してまいりました。
 卒業生や卒園児と教職員を基本として内容を縮小せざるを得ませんでしたが、短時間でも精いっぱい心のこもる門出の時間にしたいと願い、様々な準備を重ねました。式典の様子をご覧になれない保護者の皆様にその様子をご覧になれるYouTube同時配信の設定や、複数カメラの撮影による録画記録の制作を行い、お詫びとともにお伝えするように努めました。そこには各パートを越えた先生方のご協力がありました。接続した総合学園の中で育ってきた学園生と保護者の切実な願いに改めてふれ、学園全体のつながりを念頭に取り組む大切さについて認識を深める機会ともなりました。
 4月当初の学校再開を前にして困難が続きますが、全学の連携を大切に進んでいきたいと思います。

 年度末の学園生活を共有できずに在校生・在園生に申し訳ないとの先生方の思い、悔しい気持ちにも接してきました。学習記録や作品、学習課題や学校・学年の配布物などを学園生や保護者にお届けできる日に、先生方は様々な形で今年度最後のメッセージを用意し、励ましの言葉を届けていました。学級通信等も生かして担当した学園生のチャレンジや成長ぶりを喜び、来年度へ向けたエールを送る様子がありました。学園生の皆さんへの先生方の強い愛情に接して湘南学園の良さをかみしめる思いでした。つらい思いを重ねた今年度のことも心に留めて、充実した新年度の学園生活を築いていきたいものです。
 
 この「学園長通信」は、毎週水曜日と土曜日の週2回を基本に発信してまいりました。学内、学外の多くの皆様方に読んでいただきまして、心からお礼を申し上げます。ご感想やご意見などございましたら、ぜひお寄せください。

 新年度は4月8日(水)から通信を再開する予定です。新型コロナウイルスをめぐる厳しい情勢が続きますが、今年も桜の開花をはさんで初春の季節がやってきます。お花見を楽しむ気持ちも忘れずに過ごしたいものです。
 皆様どうかお身体を大事にされ、お元気でお過ごしください。