第176回 「ステイホーム」と家族
幼稚園、小学校、中学高校それぞれ段階的なスケジュールが編成され、登校・登園が再開されました。新たな毎日が進んでいます。やっとクラスメイトや先生方に出会い、再会できた笑顔に接しています。友だちとの交流が広がっていることでしょう。
それでもまだ在宅生活は長めであり、感染防止に注意する慎重な生活が求められます。ここまでの数か月は、当たり前だと思っていた日常の生活が本当に大切なものであり、それを支えてくれる人たちへの感謝を新たにする期間でもありました。そうしたテーマについてふれていきたいと思います。
緊急事態宣言発令の時期、「ステイホーム」(家で過ごそう)が全国で奨励されました。家族が外出を控えて家にいることで、終日つづく家事や育児の負担、様々な家族のケアなどの負担が増えたことが注目されました。
外出が難しいため三度の食事も大変です。密に気をつけた買い物、調理や片付けの作業でも家族の協力が求められます。
学校や保育所に行けずに家にいる子どもの世話があり、学習課題のフォローや不安な気持ちへの寄り添いの必要も親御さんには切実です。この間学園でもご家庭での様々なご協力をいただきながら進めてきました。心からお礼を申し上げます。
さらにご家庭によっては同居される高齢のご家族の介護をされる方々も大勢おられます。
そして在宅勤務が広がる中で、お仕事と子どもの世話の両立に多くの人たちが悩まれたことでしょう。
在宅勤務は通勤の負担こそ軽減されますが、慣れない環境下で家族に気兼ねしたり一人の時間をやっと得て対応する場面も多いことでしょう。仕事と安らぎのオン・オフの切り替えに悩まれる人が少なくないと思われます。
またテレワークの無理な職場で、人びとの暮らしやケアに直接貢献する現場のお仕事をされる方々も多数おられます。家族のご心配を受けながら第一線で勤務されているのです。
すべてのご家庭はそれぞれ固有の状況と悩みをお持ちです。親子関係や家族間の関わりを受けてご苦労やストレスが増えたり、助け合いが広がったりいろいろなことがあることでしょう。
大事なことは、何気ない家庭の生活はたくさんの「家のしごと」によって支えられており、どれも家族のために必要なことであり、時には皆で分担して助け合っていかねばならないことに気づき、実行することだと思われます。
この期間に学園生の皆さんもそのことに気づいたり、再認識してくれたことが期待されます。在宅勤務の様子から、また感染対策の苦労から、親御さんの仕事について話を聞く機会があったご家庭もあることでしょう。家族が長い時間を共に過ごすことが、これからも会話や助け合いの機会につながる日々であることを願っています。