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第177回 生命と暮らしを守るしごと

2020年6月24日

 梅雨の時期にはいりました。幼稚園・小学校・中学高校それぞれ分散登校・登園の期間が続いています。慎重に感染防止対策を進め、段階的に通常登校・通常登園へ移行する日程が組まれています。本格的な学園生活の再開までもうしばらくです。徐々に生活リズムを整えて元気に生活してもらいたいです。

 これまでの数か月、誰もが前例のない不自由な生活環境におかれました。それまで当然のことだった日常生活が、本当にかけがえのないものであり、社会に生きる様々な人たちによって支えられていることに、改めて気づかされる日々でもありました。
 そして学園生もふくめて若い世代は皆さん、テレビやネットや新聞を通じて広く世の中に目を向け、世界の動きにも関心を持ったことでしょう。今回もそうしたテーマについてふれたいと思います。

 この間ずっと、感染拡大の予防のために外出自粛が求められ、全国の職場ではテレワークが推進されました。一方で世の中には私たちの日常生活と直接につながるお仕事がたくさんあり、在宅勤務などは出来ない職種も数多くあります。その方々が現場で働いて下さるからこそ安心して生活できるのです。具体的に挙げてみたいと思います。
 
 医師や看護師など医療現場の関係者が、どんなに過酷なお仕事を続けているのかについて広く知られるようになりました。ご自身も感染不安が絶えない環境の中で、大勢の患者さんの生命や健康を守ろうと懸命に力をつくしておられます。

 スーパーやコンビニやドラッグストアなど小売店の関係者は、人びとの日常生活を支えるべく膨大な生活必需品を扱い、無数の配慮を重ねながら営業されています。非正社員も多い店員スタッフの確保や密を避ける設営などのご苦労も知られるようになりました。

 多数の人びとが自宅にこもる中でネット通販の需要は更に高まりました。倉庫からの配送やトラックの輸送を経て戸別の宅配まで、物流現場の方々の大変なお仕事のおかげで様々な物品を自宅まで届けてもらって消費、使用できるのです。

 介護の現場も、高齢者のケアを続ける職務から老人ホームや介護施設への出勤が前提のお仕事をされています。通所介護や訪問介護も広がって高齢者の感染不安とも向き合われる日々であり、離職者の増加や介護ヘルパーの不足の中で多大なご苦労をされています。

 ごみ収集にあたる自治体職員や作業員の方々のおかげで、私たち住民の家庭生活が守られています。外出自粛や断捨離で家庭ごみの量が激増し、感染不安とも向き合う連日の作業に対して、住民の人たちから感謝のお手紙が広がりました。

 ケア病床の確保や電話対応などでお休みのとれない公務労働の方々も大勢おられます。病院や公共施設や民間の大店舗で清掃員の方々も感染不安の中で従事されています。保育所や学童施設で新たな配慮が重なる中で子どもたちのケアに取り組む方々も多数おられます。警察や消防など救急のお仕事は常に緊急の事態にあたられる現場第一のお仕事です。電車やバスなど公共交通機関で働く方々のおかげで私たちの日々の移動が可能になっています。
 
 こうした広範なお仕事によって私たちの生命と暮らしが守られていることについて理解を深めなければなりません。他にも数多くの業種が当てはまるでしょう。

 「エッセンシャルワーカー」という言葉が知られるようになりました。人びとが生活する上で必要不可欠な仕事を担う人たちを指す語句として注目されています。
 昼夜を問わず最前線で勤務していただき、時には個人間距離や三密回避も十分にとれない環境の中で社会全体に貢献して下さっているのです。

 学園生もふくめて若い世代の皆さんも、そうした社会のつながりについて理解を深めてもらいたいです。ご家庭でも普段からそんな話題を心がけていただき、自分たちに今出来る努力は何かについて話し合えるような機会もつくっていただけたらと思います。