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第187回 幼稚園~秋との出会いの中で

2020年9月30日

 月末になり、やっと秋晴れのさわやかな日々にも恵まれるようになりました。
 「読書の秋」に「食欲の秋」。「天高く馬肥ゆる秋」の名句もおなじみでしょう。
 各パートから出されるお便りや通信なども、秋の到来とその嬉しさにふれ始めています。
 先週発行された『幼稚園だより』がとても心温まる内容だったので、今回はその話題から入ってお伝えしたいと思います。
 
 学園幼稚園は、年間を通して季節感を大事にした保育のプログラムを丁寧に進めています。日本人が長年にわたって育み、守ってきた年中行事や日常生活の文化を、子どもたちが興味深く追体験し、親子でも楽しんで話が弾むようにとイベントを工夫しています。
 来月に、学年別にスクールバスに乗って秋の実り『さつま芋掘り』に出かけたり、年長組が秋の自然を満喫する『秋の遠足』に出かけるのもその一環です。
 
 年中組の保育の一コマが紹介されていました。♪虫のこえ♪の名曲を歌っていたら(マスクを通しての声ですが)、「マツムシってどんな虫なの」「チンチロチンチロってほんとになくのかな」と子ども達の質問がつきなくなり、担任はiPadを使って虫の画像を示したり虫の鳴き声を1つ1つ聴かせたりしました。子ども達は身を乗り出して聴き入り、それぞれぴったりのカタカナ言葉を思いついて表現したり、クラスがもりあがりました。 
 そしたら連休後にある子が、「先生!お休みの日に温泉に入っていたら、スズムシがリーンリンって鳴いてたんだよ!」と嬉しそうに話しかけてくれたそうです。
 「中秋の名月」やお月さまの物語などの秋の世界も、どこかで紹介されることでしょう。
 
 iPadはとても便利で役に立つけど、実際に体験して<五感を育む>ことこそが幼児期には特に大切なことです、と古田園長は述べています。
 そして子どもを『道具』に任せるのでなく上手く活用しながら、何よりも我が子としっかり向き合い、心を通わせ、同じ目線で子どもの話をじっくり聞いてあげる親子関係を築いてほしい、と続けて述べていました。
 
 また「敬老の日」に向けて、お年寄りを敬う気持ちを育んでほしいと、年中組や年長組でおじい様やおばあ様に絵手紙を送る取り組みがあったことも紹介されていました。
 感染予防から帰郷を控えるご家庭が多かった中で、コロナに気をつけてね!安全になったら合おうね!との言葉を添える園児が多くいたそうです。
 年少組でも各クラスでおじい様やおばあ様の話をしたり、絵本を通してお年寄りを敬う気持ちを育む取り組みがありました。
 
 こうした保育の取り組みが、学園の園児たちの豊かな感受性や探究心を育てていることに心から共感をします。いつも野原や林や池を廻って昆虫大好きだった自分の幼児期も想い出しながら、次世代の子ども達に対する先行世代の責任を確認する思いになります。