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第194回 創立87周年を迎えた湘南学園

2020年11月18日

 湘南学園は、今週日曜日の11月15日に、創立87周年を迎えました。
 創立100周年の節目まであと十数年の位置にある長い歴史を持つ伝統校であり、世間に類例のない独自の運営方式が維持されてきた私立学校です。世界がコロナ危機に直面してきたこの年の中で、改めて未来へ向けた湘南学園の使命を自覚したいと考えます。
 
 湘南学園は、昭和初めの軍国主義の強まる時代に、子どもの成長と幸福を第一に「わが子を託せる」学び舎を創りたい、との強い願いから発足しました。
 関係者の方々の尊いご寄付やご尽力を受けて小学校と幼稚園から数名規模で開学され、次第に転入生が増えました。大戦の時代をはさんで学事と経営で様々なご苦労がありましたが、戦後、新制の中学校と高等学校の設立も認可され、明るく伸びやかな校風が注目されて入学者が急増し、幼小中高を併せ持つ総合学園としての基盤が築かれていきました。
 その後も変貌する時代の節目や学内の様々な困難を乗り越え、教職員と保護者の協働による運営が続けられました。一方、学校間の相互理解や教育実践の連携に弱さがあると指摘され、最長15年間の一貫教育の視点で連帯感を強め、総合学園の内実を豊かにしていく課題が自覚されていきました。

 今世紀に入り、同窓会との協力関係が回復されて数々のご貢献をいただき、後援会も発足されて多方面で教育支援を寄せていただきました。PTAは独自性に富む新しい活動を展開されました。創立80周年には音楽祭やホームカミングデイが同時開催され、80周年記念館が建設され、カフェテリアが開業されました。NPO法人湘南食育ラボが日々の出食と食育の推進を担っていただくようになりました。

 中高は総合学習を深めてユネスコスクールに加盟し、SGHの準拠校にも認定され、ESDの理念で全教育活動を統合していきました。小学校はコンクール最優秀賞を得た新校舎を建て、旺盛な授業研究と総合学習に取り組み、エコスクールに認定されました。幼稚園はきめ細かな保育実践が高く評価され、その預かり保育は小学校のアフタースクールとともにご家庭の切実なご要望に応えてきました。
 このように、「子どもたちの成長を願ってみんなで創る総合学園」という志が、今世紀も時代の課題に応える新たな形で展開されているのです。
 
 今年は本学園もコロナ危機に直撃され、長期にわたる臨時休校、段階的な分散登校を経て、通常登校・登園後も日々の感染予防対策の徹底をはかりました。休校期間中にはオンラインの学習指導やHR運営も活発に展開され、再開後は年間スケジュールや学校行事を変更修正し、感染対策を励行しながら学園生の学習や体験を極力保証するべく努力が続けられました。そこでは学園生たちも行事や諸活動で主体的に企画や運営に参画し、困難な中でも自分達で学園生活を形成していく体験を持てるようにと、サポートが重ねられました。
 
 湘南学園の建学の精神にもとづき、全学を通して「学園生に育みたい三つの力」を以下のように考えています。
 (1) 人を大切にして、つながりを広げられる力
 (2) 自分の考えを深めて、さまざまな機会に表現できる力
 (3) 主体的に行動して、新たな課題にチャレンジできる力

 人それぞれに個性があり気質や性格の違いがありますが、これらの力は普遍的に大切なものであり、情報化や孤立化の進む社会において自分を守り人生の可能性を広げていく上で、重要な「人間力」の内実となるものではないかと考えるものです。

 湘南学園の子どもたちの学びや体験と成長を、こうした視点から統一的に捉えたいと考えます。「厳しい未来予測」が多方面から指摘される現代ですが、湘南学園は社会の変化も見すえて建学の精神を深め直し、持続可能な社会の担い手として活躍し貢献できる、個性豊かな人間の育成を期して、総合学園としての教育の発展をはかっていきます。