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第201回 親子で話せる「SDGs」の課題

2021年1月20日

 今回は、いま世界的な重要課題として注目される「SDGs」について、子どもも大人も気軽に読めて親子で話題にもしていただけそうな、優れた入門書をご紹介します。

 『こどもSDGs~なぜSDGsが必要なのかがわかる本』(バウンド・著、秋山宏次郎・監修、2020年8月株式会社カンゼン発行)という本です。秋山氏は、「一般社団法人こども食堂支援機構」の代表理事をされています。

 このままでは地球が危ないから、未来を担う子どもたちが世界が直面して解決すべき問題を知り、ふだんの生活とどうつながりどう関わっていけるのかを、ビジュアルに親しみやすく判りやすく伝えるガイドブックです。漢字には全てふりがながついています。

 「SDGs」は国連が掲げた人類全体の近未来の目標です。現在を共にする地球上の全ての人たちに関係があります。2030年までに目標をどこまで達成できるかどうかは将来生まれてくる次世代に対しても責任があることです。大人も子どもも共に考えて話し合って取り組んでいくことが期待されています。本書の構成は目次から以下のようになっています。
 
第1章 みんなの周りのさまざまな問題を整理しよう
第2章 国連が決めた世界共通の目標SDGsって何?
第3章 自分ごととしてSDGsを考えることが大事
付録  SDGsの17の目標をもっとくわしく知る
 
 類書も多い中で比較のないご紹介でおわびしますが、一読して学園生と保護者の方々や卒業生にお薦めしたいと思いました。「ニュースなどで一応知ってはいたが実状や背景を改めて知った」「この問題は特に気になるのでもっと調べてみたい」と興味関心が広がりそうです。巻末の「SDGsお役立ちサイト」や「SDGsを楽しく学べる便利ツール」もあとで気軽に観られます。

 「できること、できそうなことからやってみよう」の提起も身近な具体例に共感します。SDGsの目標はそれぞれ複雑に関係し合うので、ある目標が他の目標を犠牲にすることを避け、複数の目標を同時に達成することが大事だし可能なはずだ、という視点もじんわりと理解されることでしょう。
 SDGsは、学校教育やビジネスの世界でも注目を集め、テレビやネットでも頻出していますが、大人が全体像を理解するのにも丁度良い本です。親子そろって読んで考えさせられ、身近な暮らしを振り返り、社会の動きについて対話することも期待されます。
 
 この2020年代は「人類がこの先存続できるかどうかの岐路になる」と識者の方々から指摘がなされています。現段階の深刻な情勢が報告され、「2030年まで」の実現のための行動が求められています。

 湘南学園は、総合学園としてSDGsの取り組みを進めています。総合学習や有志プロジェクトなどで学園生達が「自分ごと」として活発に学び行動することが期待されています。

 子どもたちは世の中が抱える重大な問題を身近にとらえると、その解決のために勉強が大切だと気づき、自分達に何が出来るか問題意識を深めるものです。まず親や教員など大人達から学ぶべきテーマでもあります。
 この新著もぜひ本屋さんで手にとっていただければと思います。