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未来に向かって旅立つ

2017年3月31日

 桜の開花宣言が出され、各地で桜の蕾がほころび始めてきました。春本番いよいよ到来の感があります。

 今月半ば過ぎ、最寄り駅から学園に向かって歩いていると鳥の鳴き声が聞こえてきました。「まさか」と思いながら耳をすませると「まさか」ではなくウグイスでした。木々が芽吹き、ウグイスが鳴きということで、駅からの往復が楽しみになるこれからの鵠沼界隈ということになります。
 
 三月は旅立ちの季節。幼稚園、小学校、中高でそれぞれ卒園式、卒業式が催されました。

 幼稚園の卒園式。卒園する年長さんは、担任の先生の呼名に一人ひとり「はい」と手を上げて元気に返事をします。その表情、しぐさに成長の跡がはっきりと窺えます。さらに、式の中では、湘南学園幼稚園での生活を振り返り、一人ひとりが自分の「思い出」を語ってくれました。

 三年間の湘南学園幼稚園の生活を通して健やかに成長した卒園児の今後が大いに楽しみです。
 
 小学校の卒業式。湘南学園小学校では、「修卒業式」と位置づけ、全校児童が参加し、卒業と進級を祝う場としています。

 保護者の代表の方のご挨拶に「ここにいるあなた方を見ていると、六年前の春、嬉しそうにちょっぴり恥ずかしそうにこのひな壇にすわっていた小さな一年生の姿を思い出します」という言葉がありました。
 
 六年間の湘南学園小学校の生活は、一人ひとりを見違えるように成長させてくれました。私は、卒業する六年生を見ながら、成長に関し、外側から把握できるもの、いわゆる「見える力」だけではなく、内面に深くたくわえた豊かさ、いわゆる「見えない力」も併せて培っていることを感じました。

 六年生の全員でのコールの最後は、「今、僕たち、私たちは未来に向かって、旅立ちます」という言葉でした。まさに、「未来に向かって旅立つ」卒業生の皆さんには、学園小学校の「豊かな学び」で培った「見える力」と「見えない力」をより一層育み、大きく飛躍されることを期待しています。
 
 湘南学園高等学校卒業式。今年卒業を迎えたのは、2011年4月に入学した生徒です。すなわち、東日本大震災の直後に本学園に入学し、六年間を過ごした生徒が今春卒業を迎えたということになります。そうした経緯もあり、今年の卒業生は、高校二年の研修旅行のコースのひとつに東北コースを設定し、さらに東北コースに参加した生徒の一部は「東北部」という自主サークルを立ち上げました。「東北部」の生徒たちが、防災について、被災地との連携・協力について、防災を含む地域とのつながりについて等に熱心に取り組み、多くの成果を得たことは、たとえば、2016年4月7日付朝日新聞神奈川版に詳細に紹介されたとおりです。

 東北部の活動のみならず、主体的、意欲的に学校生活に取り組み、後輩を牽引してくれた卒業生の皆さんの活躍と成長をうれしく頼もしく思うとともに、今後の更なる飛躍に大いに期待しているところです。
 
 高校卒業式に出席して印象に残ったことのひとつに、皆出席者が多いということがあげられます。平成28年度一年間皆出席が35名、高校三年間皆出席が17名、中高六年間皆出席が17名。卒業生の約4割が一年間以上皆出席という数字には、率直に言って驚かされました。さらに驚いたことに、湘南学園小学校入学以来十二年間皆出席の方がいたということです。十二年間皆出席というのは並大抵のことではありません。ご本人の努力、自己管理もさることながら、ご家族の支えがあって初めて可能になることかと思います。十二年間皆出席の卒業生は、国立大学医学部に現役合格し、四月から医師を目指しての一歩を踏み出します。湘南学園での十二年間の生活と学びの中で培ったものを生かしながら、研鑽を深められ、成長されることを期待と共に確信しています。
 
 3月22日の放課後には、「高校2年ファイナルステージ2016」が行われました。この春で高2生が部活動引退となる合唱部、演劇部、ダンス部、軽音楽部によるリレー公演がその内容です。

 私は、合唱、演劇、ダンスを見せてもらいましたが、高校2年の部員にとってはファイナルステージということで、それぞれの思いが見る側に伝わり、また、後輩に襷を繋ぐという意識が随所に感じられる公演でした。

 合唱部公演では、現役部員が引退する部員に送った歌、一方で現役部員に引退部員が感謝を込めて送った歌、公演の最後のやりとりが特に印象に残りました。

 演劇部の公演「桜井家の掟」。キャストもそれぞれ役柄を演じ切り、内容も考えさせられることが多く、余韻の残る公演でした。劇の中の隠れたテーマに手紙がありました。「手紙を書くことは心を耕すこと」。劇中のセリフに、その通りと思いながら、葉書や手紙を書くことを大切にしている身として、手書きの良さを学園生にも気づいてもらえたらと思ったりしています。

 ダンス部の公演は、アリーナに来場された多くの観客の方と踊り手が一体となり大いに盛り上がりました。この日のために練習を重ねてきたことが窺えるダンス部の皆さんの熱演は見応え十分。「限界なき挑戦、NO LIMIT」「これからもダンス部は挑戦をつづけます」という公演最後のダンス部のメッセージは心に届きました。
 
 下旬に入り、小学校から冊子が届きました。湘南学園小学校の『2016年度研究紀要』。サブタイトルに「「豊かな学び」を目指して~「書く」ことを通し、ともに育つ~」とありました。湘南学園小学校では、2009年度に教育研究部が設立され、以来、昨年度までの七年間、研究主題「学び合い」をテーマに研究を積み重ねてきました。昨年度末の「まとめの会」で、共同研究者である都留文科大学佐藤隆教授から、以下の助言をいただいたということです。

・書くことによって、意識的に対象に関わり、自分の世界の見方を広げ、わかるようになる。
・書くプロセスを経ながら自分を認識し、問いをもつようになる。
・書くという行為を導き出すような実践の開発を考えていくべきである。
 
 佐藤教授よりの助言を踏まえ、教育研究部が中心になり、「書く」ことに焦点をあて、本年度学園小学校全体で取り組んできた研究成果の集大成が『研究紀要』ということになります。

 研究、実践の開発への取り組みそのものも大いに意義のあることですし、研究成果の集大成を『研究紀要』にまとめ、多くの方々に問うということにさらに大きな意味を感じています。

 こうした取り組みが、学園小学校の来年度以降の教育活動の一層の充実につながり、また、「豊かな学び」のさらなる発展につながることを確信するとともに、このような動きが学園全体に広がっていくことを期待しています。
  
 幼稚園、小学校、中高等学校、それぞれの旅立ちがあり、襷の引き継ぎが行われました。来年度、引き継いだ襷を大切にしながら、学園全体の教育活動の一層の充実を図りたいと思っています。
 
 そして、鵠沼界隈も間もなく桜が満開です。

<関連リンク>
【小学校HP】
「卒業式 希望を胸に 旅立とう」~修卒業式~(校長日記)
2016年度 修卒業式(学びブログ)
公開研究会2016(学びブログ)
 
【中高HP】
第1328回 第65回湘南学園高等学校卒業式(校長通信)
高校卒業式の模様をご紹介します!(学びブログ)
中学修卒業式が行われました(学びブログ)
高校2年 ファイナルステージ2016の模様をご紹介します!!(学びブログ)