第1328回 第65回湘南学園高等学校卒業式

2017年3月17日

その先の自分と世界を想像し創造しよう!

 陽光の強さには春の兆しを感じられるものの、気温は春本番には少し遠いと思われる卒業式当日、それは東日本大震災と福島第一原発事故から6年目と重なる日となりました。
 
 改めて東日本大震災と福島第一原発事故により犠牲となられた方々、今だに避難を余儀なくされいる方々に対しまして、追悼と激励の気持ちを表明するものです。
 
 卒業生176人が中高一貫校としての湘南学園中学校入学間近という2011年3月11日、マグニチュード9.0という観測史上最大の東日本大震災と福島第一原発事故が起こったことを思い出してみよう、私の式辞は始まりました。以来卒業生は6年間を東日本大震災と福島第一原発事故が、私たちに、日本にそして世界に投げかけた各分野の大きく重い諸課題を意識しながら、学び、考え、行動してきたのだと。

 そこで、卒業生の取組みから、高2研修旅行「東北コース」の実現と「東北部」の活動の意義にスポットをあて、この取組みの意義を5点あげさせていただだきました。
 
 1つは、未曾有の東日本大震災後の現場を直接歩き、被災された方々の「いまとこれから」をしっかり考えるために、そこに出向く勇気と気概をもった皆さんであったということ。

 2つには、被災地の見聞や被災された方々の聴き取りから、「未災地」の自分たちが何を課題として取り組むべきかを考え、足元からの行動に繋げたこと。

 3つには、自分たちの学びを、他者(生徒、教職員、地域の皆さん、全国の高校生の皆さん)に伝え、共有しながらも、議論を通じて、その学びをより豊かな高みに引き上げたこと。

 4つには、絶えず広い視野にたって、かつ具体的な提案を足元から行うことで、「自分ごと」(「当事者主義」)を自らの構えにおき続けたこと。

 5つには、この取組みの背景には、湘南学園中高が目指している地球規模の諸問題に若者が対応できるような教育、そして持続可能な未来の担い手を育てる独自の教育実践としての「湘南学園ESD」の取組みがあったということ。
 
 この高2研修旅行「東北コース」と「東北部」の活動は、皆さんにとって大きな財産であるのみならず、湘南学園にとっても意味ある教育的財産であるとしました。
 
 卒業生の皆さんが、あるべき歴史社会を想像し創造する営みに、自らの生き方を重ね合わせて進まれることを、心から期待します。

 湘南のたおやかに吹く風、力強き陽光そして松の気品が、いつも卒業生の皆さんをお迎えします。