「ならぬことはならぬものです」-80周年の年を迎えて

2013年1月8日

「ならぬことはならぬものです。」-80周年の年を迎えて

一観光客として福島県会津若松を初めて訪れたとき、「年長者の言うことに背いてはなりませぬ」から始まり「ならぬことはならぬものです。」で終わる「什の掟」に「日進館」で初めて触れました。この教えは会津武士の子の誓いの言葉として、会津の小学校では、今も伝えられている言葉です。しかし初めてこの言葉に出会ったときには「封建的で古臭い」ものとしか思えませんでした。その後仕事を通じて会津のみなさんに大変お世話になり、その暖かな人情に触れる中で、「戊辰戦争」始め、会津の自然、文化、歴史を多少なりとも知り、いわば誇り高く、背筋の通った「敗者の歴史」が物語るものに、心を寄せることが出来るようになりました。輝かしい明治維新の影で、北海道の原野で木の皮を齧りながら、それでも誇りを失わなかった会津の人々の姿は、震災と原発に苦しむ福島県民の姿と重なります。

そういう意味で新年6日から始まった大河ドラマ「八重の桜」には大いに期待しています。こうした「敗者のドラマ」が描かれる意味は、今だからこそ大きなものだと感じます。

「嘘を言うてはなりませぬ」「卑怯なふるまいをしてはなりませぬ」「弱いものをいじめてはなりませぬ」これらの教えを古臭いものとして軽んずることは出来ません。人間として当たり前のことを貫く決意として「ならぬことはならぬものです。」とまず私たち大人が身を持って示さねばならないと思います。

とうとう80周年の年になりました。80周年を単なる一過性のお祭りにしないためには、学園を守り、発展させるための強い決意が必要です。一部の人たちの努力で成し遂げられるものではありません。そのために私たちに必要なのは何より目の前の子ども達のために「歩み寄る知恵」であり「歩み寄る努力」です。「ならぬことはならぬものです。」の教えを「やるべきことはやらねばならない」と読み解きました。これが新年にあたっての私の決意です。