総合学習
探求的な学びで問題解決力を育む総合学習
教科の学習と結び付いたユニークな総合学習は、
子どもたちの生き生きとした興味関心を育て、
豊かな学力の土台をつくります。
問題解決型の学力を培うために、どの学年でも、もの、自然、人に直接触れる体験的な学習を大切にしています。体験をする中で興味を持ったり不思議に思ったりしたことから、自分たちで問いを立て、調べ、考え、相談し、行動していく学びをつくりあげ、現実の課題を解決していく力を育てていきます。
1・2年生の生活科では、五感を使いながら学ぶ楽しさを味わいながら「学ぶこと」の土台作りを図ります。3年生から6年生にかけて、体験学習を積み重ねていきながら「もの」の見方、考え方、学び方などを身につけていきます。自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、創造的で独創的なアイデアを構築しながら、自分の生き方を考えることができるようにすることを目標にしています。
湘南学園として大切にしていることは
「体験を通して学ぶ」こと
五感を通して体験した時の発見や感動、興味、疑問、失敗などを学習する意欲や関心へつなげ、ただ、体験で終始することなく「課題を見つけ、解決する」力を身につけることを目指しています。子ども達の中から生じた疑問が「つぶやき」となって出てきたとき、その課題の答えを解明する喜びや解決できた感動が味わえたとき、「もっと調べたい!」「もっと知りたい!」という学習意欲につながり、問題解決学習の基盤となっていくことでしょう。そして、体験を通して学んだことを自分の生活や考え方にどのように活かしていくかを考え、実践することのできる力を育んでいきます。
本校では、発達段階に応じた表現方法、学習スキルを考え、レポートのまとめや発信方法についても様々な形を学ぶことができるように、工夫や試行錯誤を数多く経験できる場を設定しています。
学年 | 主な内容(※年度により変更する場合があります。) |
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1年生 | ●蓮池探検 ●ザリガニ釣り ●アサガオやアイの栽培と草木染め |
2年生 | ●野草調べとヨモギ団子作り ●藤沢メダカ ●羊の毛から糸紡ぎ |
3年生 | 【海をテーマにした学習】 ●海の学校(1泊2日:江ノ島) ●磯観察 ●地引き網漁と湘南の海 ●海のゴミと環境 |
4年生 | 【水と資源をテーマにした学習】 ●山の学校(2泊3日:山中湖) ●相模川の水源地登山 ●水の循環 ●ゴミと資源 |
5年生 | 【食をテーマにした学習】 ●有機栽培の米作り(田植え、草取り、稲刈り) ●雪の学校(3泊4日:新潟県十日町市松代) |
6年生 | 【歴史をテーマにした学習】 ●鎌倉めぐり ●修学旅行 |
宿泊学習
3年生から宿泊学習を実施しています。3年生では「海の学校」として1泊2日、4年生では「山の学校」として2泊3日、5年生では「雪の学校」として3泊4日、6年生では「修学旅行」として3泊4日の宿泊行事を実施しています。学校から離れたフィールドで、充実した体験から様々な学びができるようにプログラムを作っています。日常とは違った空間で過ごす時間は、通常の授業では得ることのできない貴重な成長の機会となっています。
【3年生海の学校】
3年生は海をテーマに年間の総合学習を実践しています。宿泊学習「海の学校」では周辺の磯や海の生き物について学びます。磯観察、地引き網、かまぼこ作りなど、体験を通した実感のある学びも多く取り入れています。
ビーチコーミングも行います。ビーチコーミングとは浜辺に落ちている貝殻や漂着物を拾い集める遊びです。子どもたちがより海に親しみを感じ、環境についての意識を育みたいと考えています。「海の学校」は小学校ではじめての宿泊学習であるため、集団生活を通して得ることも多くあります。自分の荷物の片づけなど、少しずつ自分のことはできるだけ自分でできるようなることを目指して指導をしています。
【4年生山の学校】
4年生では、水をテーマに年間の総合学習を実践しています。山中湖周辺での2泊3日の宿泊行事を行い、相模川水系の水源を求めて石割山登山をしながら湧き水を探索します。また、豊かな自然環境に触れながら、ネイチャーラリーや羊毛クラフトなど、自然とは何かを全身で感じることを大切にして学習を進めています。
石割山の登山では、石割神社のおよそ400段の階段をのぼることに苦労しながらも、ご神体である割れた岩を前に迫力と神秘さに触れます。クローバー牧場では、引き馬に乗ったり、馬にブラシをかける体験が待っています。夜の森体験では、明かりがない森の中で視覚に頼れないながらも、触覚や嗅覚から様々なことがわかるとあらためて気づく機会となっています。
この宿泊体験をきっかけに私たちのくらしに必要な水について詳しく調べる学習に入っていきます。
【5年生雪の学校】
雪の学校では1月中旬の4日間、新潟県十日町市松代に行き「雪国の体験」をします。日本でも有数の豪雪地帯の松代で力強く生きている人々との交流。湘南では経験できない大自然の厳しさと雄大さ。両親や先生と離れて過ごす1泊2日の民泊体験。人と人、人と自然の関わりを大切にし、雪国のくらしを体験することで、自分とのつながりを見つめる機会となり、中学生を前に更なる人間的な成長を促します。
豪雪地域での暮らしの様子を体験したり、様々な雪遊びを教えてもらったり、寒い地方の暮らしの工夫について学ぶとともに、そこに住む人々との素敵な出会いがあります。そして深い雪の中を歩くスノーシュー体験などおもいっきり遊ぶ、豊かな体験をします。
【6年生修学旅行】
最高学年の6年生は学習の集大成として日本の歴史を学ぶために“奈良・京都”へ行きます。金閣寺・銀閣寺などはじめ、様々な神社仏閣や歴史的建造物、文化遺産を見学します。情緒ある町並みを歩き、五感をフル活用させて歴史を感じる機会となっています。
3日目には、タクシーを貸し切り班別行動を行います。事前に子どもたち自身で観光地を調べ、観光ルートや昼食場所など旅程計画を立ててグループ行動をします。計画通りにいかず様々なハプニングがあるのですが、協力しながら自分たちの力で乗り超えていく力が養われていきます。子どもたちの主体性・自立性を発揮できるように工夫しています。
探究活動
総合学習の時間では学年ごとにテーマを決めて様々な学習に取り組んでいます。子どもたちと担任が、このことを調べてみたいという興味関心をもって探究活動に入っていきます。
低学年は学習の入門期。実際に見て、触れて、感じたり考えたりしながらの活動を、大切にしています。
1年生では、身近にある蓮池公園での活動。ザリガニ飼育やどんぐり工作から、生き物を育てる難しさや自然のものを使った楽しみ方を学びます。
2年生になると、蓮池公園にいる貴重な藤沢メダカを学んだり、羊の糸を紡いで羊毛クラフトを作ったり、学びの森で野菜作りを体験します。これらの学びや活動を通して、自然に対する関心、命のつながりを学んでいきます。
3年生は「海」をテーマに総合学習に取り組みます。湘南地域の特性を活かし近くの磯観察に出かけます。また漁港の漁師さんから海の生き物について話を聞いたり、地引網体験を行います。
あるクラスは海と人とのかかわりを探究するため小田原の街を見学しました。魚介を利用した加工品である練り物や干物、鰹節などがどのように作られているのか調べたのです。それぞれ調べたことは共有できるよう発表会を行いました。テーマを決めて調べてまとめて発表するという活動は、問題解決能力を育みます。発表会は子どもたちがより良いアイデアを出せるように、テレビ番組のような場を設定して行いました。このような活動に主体的に取り組むとすばらしい能力を発揮します。とても充実した発表が行えました。
5年生は農家の方にご協力いただいて、稲作に挑戦しています。有機農法について詳しい相原農場の相原成行氏に協力していただきながら、田植え、草取り、収穫と稲作を体験します。子どもたちは相原氏の有機農法にかける熱意や、自然環境に対する強い思いに触れながら、農業について学びます。
ある年はそれだけでは終わりませんでした。現代社会においての農業の課題と食物自給率について探究的に調べるなかで、食物自給率をあげなければならないと子どもたちが考えたのです。そこで食物自給率を上げるために、育てたことのある米に注目しました。米粉として利用することによって、自給率をあげられないかと考えたのです。そこから街頭アンケートを実施しパン屋さんに協力を依頼して、自分たちで新商品の開発を行ったのです。そのような活動を通して、食物自給率が低くなってしまうことは悲観的にやむを得ないと考えている子も、新潟で出会った農家の人々が苦労することを心配し、より農業について考えていく必要がある、と発言するようになりました。
教科の学習や宿泊行事とつながりを持ちながら、子どもたちが主体的に探究できるような活動を行っています。子どもたちの興味関心を大切にして、時間をかけても納得できるように計画を立てています。総合的に問題を解決できる力を育てることが総合学習の取り組みのねらいです。