心の風物詩

2021年6月22日

「昨日ね、蛍見たよ。」
1年生の女の子が教えてくれました。場所は、僕の自宅から歩いて10分ほどの所にある「広町の森」でした。広町の森は鎌倉山から七里ガ浜や鎌倉高校前に広がる森です。森の中には樹齢200年とも言われている大山桜があります。さらに、森の入口には田んぼや畑といった里山の風景が広がります。今ではすっかり整備され誰でも踏み込めるようになりましたが、二人の息子を連れて遊んだ15年ほど前は、道に迷ってしまうくらい獣道が入り組んでおり、冒険心をくすぐられる森でした。また、2年生の担任をしたときは、学年で子どもたちを連れて行ったこともあります。

広町の森には夜の8時過ぎに着きました。田んぼから森に向かってくねくねと暗い遊歩道を歩いて行くと、ポっと蛍の光が闇に浮かびました。田んぼに映る光は幻灯のように神秘的でした。森の入口に近づくと一匹の蛍がこちらへ近づいて来ました。他の蛍より強い光を放っています。手を差し出すと掌にふわりと止まりました。話には聞いていましたが、その明るさで本が読めるのは本当だったということに驚きました。

数日後、教員室がざわめくことが起りました。
2年生の男の子が玉虫を持ってきたのです。金緑に輝く翅は「玉虫色」という日本の伝統色になっています。それは、光の干渉によって金緑から金紫の色調が変化するので、何とも一言では表せない色です。とても自然界の色とは思えません。その翅は、法隆寺の国宝「玉虫厨子」の装飾に使われているほどです。40年以上振りに生きている玉虫を見て感動感激しました。
そして、6月8日の『校長日記』で、自分自身が蛍と玉虫について重ねて触れていたことに不思議な気持ちになりました。