「錆びない体と食育」

2016年1月29日

「錆びない体と食育」
~湘南食育ラボ新春食育セミナー開催~

 
 NPO法人湘南食育ラボ主催の標記セミナーが、湘南学園80周年記念館内のカフェテリアで開催されました。今回のセミナーは「錆びない体と食育」をテーマとして、早稲田大学ナノ工学研究機構教授で湘南学園小学校卒業生でもおいでの矢澤一良先生をお迎えしての新春講演会です。保護者に皆様、ラボの関係者、教職員などが参加して大変豊かな食育をテーマにした学びの場になったことはいうまでもありません。矢澤先生の熱弁は優に2時間を超えていましたが、参加者の眼と耳はこの講演に釘付けでした。

 
 講演に先立って、矢澤先生監修・湘南食育ラボ菊池栄養士プロデュースによる「アンチエイジング食材」を使用したスペシャルメニュー2種が用意され、それぞれのランチを美味しくいただくことから新春食育セミナーが始まりました。メニューの1つが鮭をメインデッシュとしたものでした。

 
 ではなぜ鮭なのか。鮭は川を遡上するためにずっと泳ぎ続けます。運動すると鮭の体内で活性酸素が増え、筋肉組織を破壊し疲労を感じるようになります。その活性酸素の増えすぎを防ぐ抗酸化作用をもつ物質として「鮭の赤み」が注目されています。その物質を「アスタキサンチン」と呼びます。この赤い「アスタキサンチン」は、実は鮭が餌とするエビ、カニ、オキアミなどの中に含まれています。
 

 講師の矢澤先生は元々EPA研究を専門にされ、従来の魚からEPAをとるのではなく、微生物によって大量生産させるという方法で、東京大学より博士号を授与されたとお聞きしました。その後研究テーマをDHAに進められます。「魚の眼の後ろを食べると長生きする。眼がよくなる」と漁師の方から聞いたのをヒントに、カツオやマグロの眼の後ろに含まれている脂肪にあるDHAに眼をつけ、調べたところDHAが豊富に含まれていたことに驚き、ここからの抽出を思い立ったのです。現在、矢澤先生は様々な研究ケーマに意欲的に取り組まれておいでですが、今回の講演会では、紅茶の効能についても触れられ、紅茶を活用した食育の1つの方法も具体化に移されるとのことでした。

 
 いずれにしても、高齢化社会を迎え、その度合いが増してくるなかで、私たちが日頃の食育のなかで、新たな研究とその具体化に学びながら、健康を維持し増進させていくことが、大きな意味での社会貢献であることを改めて感じた次第です。