2017年度 雪の学校6

2018年2月1日






このあと、二手に分かれて、まつだい郷土資料館の見学と、スノーシュー体験でお世話になった森の学校「キョロロ」の館長さんからお話を伺いました。

郷土資料館は、築約140年のけやき造りの豪農の民家を移築した建物。豪雪にも耐える太い梁、冠婚葬祭の宴会が開かれた広間、2階の客間、養蚕が行われていた部屋、近くの神社に上杉謙信公が奉納したという軍配や太刀、昔の農具、囲炉裏の部屋と続きにしつらえられた馬小屋…などなど。3年生の社会科で学んだ「むかしの暮らしの道具」が、まさに生きた形で展示されていました。会館の方からの説明で、さらに理解が深まりました。

キョロロの館長さんのお話は、「雪国の自然とくらし」というテーマ。

日本各地の気候風土を生かした里山の暮らしが、豪雪地帯では「雪里」という形で展開されていることをていねいに解説してくださいました。

本来は高い標高にしか生育しないブナの林が、雪のおかげで人里のすぐ近くにひろがり、美しい景観(美人林)が生まれたこと、ブナの木が薪や道具の材料として生かされていること。

雪解け水が地滑りを起こし、その跡地を生かして溜め池と段差の大きい棚田が広がっていること、棚田ができたことで水の管理がおこなわれ、地滑りを防止できていること。

人の手が適度に入った自然の中で、クワガタやシメジ、ユキツバキ、雪虫、世界一小さなハッチョウトンボなど、この土地ならではの多様な生き物が生息していること。

豪雪地の自然のめぐみを生かして、持続可能な暮らしを紡いできた人々の知恵。

昔ながらの暮らしが、実は最先端の地球環境保全型のモデルになっていることをわかりやすく教えてくださいました。

さいごに、キョロロの会館名の由来になっているカワセミ科の鳥アカショウビンの鳴き声をみんなで練習して、話を締めくくられました。

館長さんに「将来、雪国に住んでみたいと思った人、いる?」と尋ねられて、パラパラと手が上がっていました。

将来、ネイチャリストとなって森林インストラクターの資格を取ろうなんて思った子が、十日町に移住するようなことがあるかもしれません。

その裏では、大量に積み上げられた荷物を手際よく運搬するゆうパックのスタッフの姿が。子どもたちの見えないところで、こうして縁の下の力持ちの皆さんが、この旅行を支えて下さっていたことにも、どこかで気づいて欲しいと思っています。




さいごのお弁当を食べた後、現地でのプログラムをすべてコーディネートしてくださった雪だるま財団の方にお別れの挨拶をしました。

子どもたちがほくほく線の電車に乗り込むところまでお見送りに来てくださり、子どもたちも横断幕を持つ皆さんにいつまでも手を振っていました。

雪の学校の取り組みは、この方々をはじめとした十日町市の皆さんの協力無くしては成り立たないプログラムです。本当にありがとうございました。

ほくほく線でトンネルをひとつ越えるたびに、「あ、雪が少ない!」と、景色の変化に気づく子がたくさんいました。ほんの3日前には、雪を見ただけで歓声を上げていた同じ子どもたちが、積雪量の違いに一目で気づくまでになっていました。これも、雪国体験の成果の一つでしょう。

あっという間に越後湯沢駅に着き、新幹線に乗ってしまうと、さらにあっという間に関東平野の乾燥した町並みの風景に逆戻り。


おうちの方が待っていてくれる東京駅で、解散式。

旅行の間、ずっとサポートをして下さった添乗員さん、看護師さん、カメラマンさんにお礼の挨拶。たくさんのお土産話に花を咲かせながら、みんな家路につきました。

この雪の学校での学びは、これから先の総合学習や、来年の修学旅行での学びに繋がっていきます。自分で見て、聴いて、感じて、考えたことを文章に書いたりブログにまとめる機会もたくさんあるでしょう。これからの社会で求められているのは、そうした広い意味での「豊かな学力」であり、マスコミでもさかんに話題になっている大学入学共通テスト(新テスト)も、そのような力を見ようとする試みだと思われます。

この雪の学校での豊かな学びを、実り多い学校生活に生かしてくれることと期待しています。