1学期の取り組み❹(体育)
防災・安全教育の一環として実践している活動について紹介します。
本校は、海に近い学校です。
そして、海は子どもたちにとって身近な遊びのフィールドです。
そんなことも理由の一つですが、体育科の活動では「水辺の安全教育」や「着衣泳」を実施しています。
今年度は、水泳中止を受け、実際に子どもたちが着衣泳を体験することはかないませんでした。
しかし、「コロナの影響で…」となんでも中止にするのではなく、
厳しい条件下の体育として、できる範囲で次年度につながる活動として
「何ができるか」を考えていくことにしました。
まず実践したのは、例年行っていた水辺に関わる安全教育です。
1年生は、海・川・プールでの危険について考え、
遊びに行くときや遊んでいる時のお約束を一緒に確認しました。
実際にプールまで行くと「こわい~」という子もや顔がきゅっと引き締まる(こわばる?)子もいました。
教室からの移動中よりも、プールに入る直前に一気に高まる緊張感。
出てきた後に、「ドキドキしたね~」と言いながら胸を押さえる女の子。
恐る恐るプールサイドを歩き、最後にはホッとした表情をしていたのが印象的です。
水の怖さはもちろんですが、一方で来年は楽しさもしっかりと体感させてあげたいと感じた瞬間です。
3年生では、遊びに行っておぼれてしまった時を想定し、
「何をしたらよいか、何ができるか、してはいけないことは?」などを考えました。
ここでは、デモンストレーションを行い、考えたり予想したことが実際に有効であるかを確認しました。
少しでもリアルな状況をつくり、溺れている人がいるという臨場感を出すために、
先生たちは、事前に打ち合わせをしてストーリーをつくります。
「えーーっ」「うわっ」と驚く声も多々ありましたが、
「ちがう!ちがう!」「力を抜いて!」など、
冷静に助かるためのアドバイスを必死で教えてくれている子もいました。
そんな中で、見に来ていた担任の先生も、素直に慌ててくれていたことが、
子どもたちによりリアル感を与えることができたのではと感謝しています。
もう一つは、高学年の保健「けがの予防」です。
まずは、自分たちに身近なこととして、学校内でのけがから要因を考え、
けがや事故を減らすため、なくしていくにはどのようなことに気をつけることが必要か。
などを考えていきました。
実際の統計や出来事、学校での取り組みや子どもたち自身の体験をもとに話を進めていきます。
そして、まとめは実技を行うことにしました。
簡単なけがの対処法については、養護の先生お手製の表があります。
各クラスにある救急箱や自分で対処できるけがの処置について書かれていますので、ほとんどの子どもたちは知っています。
今回は、子どもたちの反応と話を聞きながら、
理科で学習した「脈のはかり方」から「簡単な止血法」、「AEDについて」、「胸部圧迫」について実施しました。
テレビドラマなどからにわか知識のある子どもたちですが、実技の時間は真剣そのもの。
簡単な止血法では、「うわっ、ほんとだ」「お、できた(笑)」など驚く様子が。
「ピリピリしてきたー」「ドクドクなってる」「生きてるわ~」と自分の血の流れを感じて嬉しそうな子もいました。
胸部圧迫でも、「きつーっ、これずっとやるのー」「手が痛いー」と言いながらも
「うまくできてる?」「これでいいの?」と積極的に聞いてきます。
「肋骨折れちゃうよね?」と聞いてきた子に、近くの子が「死ぬよりいいじゃん」と答えると、
「確かに、命が助かるならその方がいい」と言っていました。
こんなような会話はあちらこちらで聞こえましたが、
中には「人の『命』を救うって大変だね」という声も…
会話の隙間で、優しさがそっと育まれているように感じました。