わたしのお気に入り

2014年5月30日

 新緑が眩しく輝きはじめたある日、子どもたちが親しげに校長室のドアを叩いてくれました。訪問いただいた子どもたちは、これまでの校長室の様子との変わり具合を確かめていたようです。校長室はいつでも小さなお客様の訪問を歓迎して開放しています。
 子どもたちは、観察の名人ですし、記憶の達人でもあります。湘南学園小学校新校舎のそれぞれの空間にお気に入りをもっています。そのお気に入りの1つひとつが、湘南学園のそして湘南学園小学校の子どもたちの「小さな文化」、居心地の良いとっておきの居場所を形づくっているのでしょう。
 教室をはじめ各所には「でん」(巣穴、隠れ家という意味)と呼ばれる小さなしかし大事な空間が設けられ、子どもたちのみならず、先生方にとってもほっとする場になっています。「相談しよう、そうしよう!」という子どもたちの声が聞こえてきそうです。
 湘南学園小学校新校舎は、2013年度神奈川建築コンクール最優秀賞に輝きました。子どもたち、保護者の皆様、そして教職員のこうした校舎がほしい!という声を何度も教育環境研究所の長澤先生たちと往復し、イメージを膨らませていった結果と聞いています。完成した校舎はそうした丁寧なやりとりのなかで創られたことにより、「校舎が子どもたちを育てる」といってよい素晴らしい建築となりました。今日も松の間を吹き抜けてくる湘南の風をうけた貝殻型の新校舎で、ゆったりとそして充実した湘南学園小学校の教育が子どもたちを主人公に進んでいます。
 ちなみに私のお気に入り場所の1つは、朝のお出迎えスポットからみる1階玄関と玄関越しに広がる光を浴びた学びの森の光景です。皐月の空から差し込む陽の光をあび、湘南の風にたおやかに揺らぐ玄関脇の青もみじとすばらしいコントラストを構成している様は、私のみならず子どもたちにとってもなにかほっとする情景に思えます。