夏休みに学ぶ2~湘南学園「2014全学教育研究集会」開催される

2014年9月5日

 2014年4月より湘南学園小学校校長に赴任してから、夏休みを挟んで5ヶ月が経過しました。とりわけ湘南学園小学校は、教員研修に意欲的に取り組んでいることはこの過程で実感していましたが、では全学的に、湘南学園全体としてはどうなのか、についての疑問がありました。それに応えるものが、標記「2014全学教育研究集会」(以下全学教研)でした。「夏休みに学ぶ2」として、この全学教研から私が考え学んだいくつかについて記すことにします。

 この全学教研は、幼小中高を併せ持つ総合学園としての湘南学園が、建学の精神と目指すべき中長期的教育指標をふまえて、各教育課程の連携・接続教育を通じて、どのような「人としての総合力」を培うのかを目標にして、幼小中高から選出された教員による実行委員会により企画・実行される全教員参加による全学教研です。この取り組みが開始されて4年(回)目を迎えた今年度は8月29日に開催されました。テーマは「わかることの可能性ー「わかった!できた!のよろこびを引き出す教育実践ー」。開会にあたって仲本学園長は、自身の専門である数学教育の振り返りから教育の根源に係る問いかけを発し、「子どもからの視点を自らの実践に照射する謙虚さがなければ、この課題(わかった、できたと感じる子どもたちのよろこびを引き出す課題)は達成されないのではないか」と私たちに投げかけました。また、横山実行委員長からは、全学教研が大事にしている一つが「交流」であることも指摘されました。各教育課程の固有性・独自性はむろん大事にしなくてはならないことは言うまでもありませんが、幼小、小中、中高の関係性のなかで、この「交流」が緩やかに吹く湘南の風のようにあってこそ、私たちが大事にしてきた「建学の精神」を、そして総合学園としての湘南学園の教育をより深く捉え進める上で求められる姿勢と感じました。

 以下、当日のプログラムを簡単に紹介しておくことにします。
・実践報告1 一緒に遊ぼう -高2保育実習で輝く園児と生徒ー  幼・中高
・実践報告2 いただきますってどんな意味? -歌を通した食育の試み- 小・中高 
・実践報告3 教科横断で「わかる」可能性は拡がるか -ESDカレンダーで見る授業と総合学習・研修旅行とのつながり- 中高
・実践報告4 「わかった!」が見えるサイエンスショー -授業レベルのパート間の交流を拡げる- 中高・小
・実践報告5 学びの森ービオトープ作りと活用ー  小・中高
・実践報告6 総合学習・情報の共有 -中学学級担任の苦悩とよろこび- 中高
 *全 体  講評 仲本学園長 佐藤隆都留文科大学教授(共同研究者)
 
 ここには、湘南学園の各教育課程を接続した学びの喜びと苦悩が見えますし、接続教育の可能性と課題も示され、それにより培われる「学力」とは、「学力構造」とはどのような意味をもったものか、総じて湘南学園教育の到達点と課題が概ね確認できたように思います。
 いまから81年前に湘南学園幼稚園・小学校の創設に連なる方々が、困難な時代の中で、敢えてここ鵠沼で、なぜ幼稚園・小学校から理想とすべき教育の「種」を蒔き育てる覚悟をしたのか、そして戦後併設した中学校・高校について、どのような一貫教育の想いを託したのかについて、時代の転換点に行われる教育改革において、全学的視野から考えを深めていくことを保護者の皆様はもとより、湘南学園創設に連なる先学者、OB・OGそしての地域の皆様は見守っておいでなのではないでしょうか。