聲の形(こえのかたち)
2014年2月4日
聴覚障害者をテーマに作品を発表し続けたのは山本おさむ氏です。「遥かなる甲子園」から始まって「わが指のオーケストラ」「どんぐりの家」などテーマを追い続け、それらの作品は本校を含めて日本中の学校図書館に並んでいます。聴覚障害についての理解を広め、深める上で、山本氏の果たした役割はまことに大きなものがあります。そして今聴覚障害をテーマにした、新たな意欲的作品が生まれました。大今良時作「聲の形」(講談社)です。舞台は小六の教室から始まります。子ども時代を目いっぱい楽しんでいる石田将也の教室に西宮硝子という女の子が転入してきます。彼女は聴覚障害児でした。幾十にも張り巡らされた「いじめ」の網、いじめの中心だった将也自身もいつの間にかいじめの対象になり学級からも、教師からも孤立していきます。ある日将也は朝自分の机にひどい落書きがされているのに気がつきます。それは以前からなのですが、それに気がつかなかったのは硝子が毎朝雑巾で消していたからなのです。その硝子が転校したあとにそれに気づく将也、「少年と少女の青く切ない祈りと再生」の物語が続いていきます。高学年の子ども達にはぜひ読んでもらいたい作品ですし、「いじめ」というテーマに深く切り込んでいるということでは、保護者や教師にもよんだもらいたいと思います。現在2巻まで発行済み。