ゴールデンウイークと家族

2013年4月26日

 

 「金八先生」などの作品で知られる脚本家清水有生さん(湘南学園保護者)に「子育て講座」でお話をうかがったときのテーマが「ドラマに見る日本の家族」でした。

 小津安二郎監督の名作「東京物語」(1953年)では、尾道から出てきた老夫婦が(笠智衆 東山千栄子が老夫婦を演じた)東京旅行に出かけるが、息子夫婦たちは日々の暮らしに忙しく、二人は肩を落として尾道に帰ります。清水さんはこの作品の中に後の「核家族」の問題を見ました。そののち山田太一脚本の「岸辺のアルバム」では「家族の解体」がテーマになり、「東京ラブストーリー」以降のトレンディドラマの中では、すでに家族の姿は見えぬというように、戦後のドラマの中での家族の変遷の時々を追いながら、今は「フリーター家を買う」など、時代のテーマは「家族の再生」に移っていていることをお話ししてくれました。

 私の経験で言えば、アプリオリに、空気のようにそこにある家族ですが、それを「家族」として維持させることは、思いのほか大変なことであると思います。時代が「豊か」になる反面で、家族で寄り添い、力をあわせることの意味がわかりにくくなっているのでしょう。

 私の子ども時代は、まだ戦後の貧しさを引きずっていた時代でしたから、一泊二日の奥多摩への家族旅行でも大旅行で、子ども時代の鮮明な良き思い出として残っています。そして振り返ると、家族で旅行する機会など、人生の中で数えるほどしかないことにも気づきます。

 まさに老婆心(?)ですが、家族とは、今ここにあるものではなく、家族のそれぞれが責任を持って日々創っていくものであると思います。

 短いゴールデンウイークですが、子ども達一人ひとりの胸のうちに、家族の良き思い出が刻まれる日々でありますように。