ふるさと

2022年3月14日

 4年生が藤沢駅のサンパール広場でイベントに参加し、SDGsの取り組みを披露しました。東日本大震災のときに生まれた子どもたちが、持続可能な社会にするために、自分たちの思いを世界に向けて発信するところに大きな意味があるように感じました。
 藤沢駅の目の前だったので多くの方々に観てもらいました。保護者の方はもちろん、下校途中の学園高校生、一度帰宅してから来たという在校生、40歳くらいの卒業生、後援会の方からも声を掛けていただきました。4年生のメッセージに引きつけられ、ふるさとの風景を見るかのように、湘南学園に縁のある幅広い世代の方々が足を止めてくれました。

 ある日、僕に会いたくなったと、電話の向こうから明るく屈託のない声がしました。声の主は僕が初めて担任を持ったクラスのMさんでした。当時、Mさんは専科の授業に行った後は、「ただいま!」と教室へ戻って来る元気な子でした。ですから、僕も「お帰り!」と出迎えていました。いつの間にかクラスの中で、「行って来ます!」、「行ってらしゃい!」、「ただいま!」、「お帰り!」が当たり前のようになりました。クラスのムードメーカーだったMさんは、先日湘南学園小学校の子どもの姿を町の中で見掛け、久し振りに母校へ行きたいと思ったそうです。

 またある日のこと、学園の近所を歩いているときに一組のご夫婦とすれ違いました。ほんの一瞬ふと思い浮かんだ顔がありましたが、まさかこんな所でと思ったときに「修成先生!」と声を掛けられました。この声の主も、僕が初めて担任を持ったAさんのご両親でした。Aさんが結婚された話や当時の思い出に花が咲き、こちらがお礼を言いたいくらいなのに、お腹一杯感謝の言葉をいただきました。

 またまたある日、1年生の担任をしたときのHさんの母上から一通の封書が届きました。そこにはHさんが新たな旅立ちをすることと、湘南学園小学校の日々がいかにかけがえのない毎日であったかが、こちらも感謝の言葉とともに綴られていました。

 僕なんかは、大したこともしてなく、ほんの少しだけ子どもたちの成長のお手伝いをさせてもらっただけです。保護者の方々が湘南学園小学校を選んでくれたおかげで、Mさん、Aさん、Hさんを始め、たくさんの子どもたちに出会うことができました。教師という仕事は、子どもの成長を一番早く一番近くで見ることができます。まさに特等席!こんな幸せはありません。
 巣立ちのときは寂しさも募りましたが、卒業生だけではなく保護者の方々も湘南学園小学校のことをふるさとのように思ってくださっているのが分かります。「ただいま。」と帰る場所があるというのはいいことです。

 教室からは卒業生に向けたコールが聞こえてきます。
 小グラウンドの松には小さな松ぼっくりが生まれました。
 また、新しい春がきます。