「たいいく表現まつり」は湘南の風が吹くなかで ~エイサーの太鼓が鳴り響き、「ヤン衆」の艪をこぐ腕のしなりがみえる~

2014年10月17日

 湘南学園小学校の最大の行事である「たいいく表現まつり」が、湘南の風が緩やかに吹く好天のなかで開催されました。子どもたちの思いが通じた何よりの日和でした。

 湘南学園小学校では、いわゆる「運動会」や「体育祭」という名称は使わずに、「たいいく表現まつり」とした謂れについて少し記すことにします。それは、運動の部に加えて各学年異なった「民舞」を取り入れ表現することを重視したことによるものです。1年生は「湘南エイサー」2年生は「湘南花笠音頭」、3年生は「湘南はねこ」、4年生は「湘南七頭舞」、5年生は「湘南御神楽」そして6年生が「湘南ソーラン節」を見事に演じきりました。

 頭に「湘南」と入れた理由は、それを現代の、そしてここ湘南・鵠沼の地、湘南学園小学校の児童としてそれぞれの「民舞」の謂れを学び理解し、演じることの意味を考えるためです。形態にも工夫を凝らして表現することは、子どもたちにとって、毎年受け継がれてきたことによる継承の重さと共に、新たな表現者としての意欲をかき立てる機会となるでしょう。 湘南学園小学校が「花笠音頭」を皮切りに、この民舞をたいいく表現まつりに取り入れてから、四半世紀近い歴史を刻んでいます。6年間で6つの「民舞」を踊ることの体験は、その後中学に進学しても印象深い思い出になっていると卒業生はいいます。実際、「たいいく表現まつり」当日には、湘南学園小学校を卒業し中学に進学した皆さんが、懐かしそうに、後輩たちの「民舞」の身ごなしに優しいまなざしで、自身の思い出と重ねて見学していたのが印象的でした。小中の異年齢文化交流・交歓といえましょう。

 この「たいいく表現まつり」は順風満帆に歴史を重ねてきたわけではありません。2011年3月に起きた東日本大震災をうけて、同年の「たいいく表現まつり」の在り方を含めて検討がなされました。その際に被災された方々と辛さや悲しみを共有すると共に、「民舞」を通じて励まし絆を深め合おうとの結論にいたり、継続されてきたと聞いています。そしてこの背景には、PTAの保護者の皆様の強い後押しがあったことはいうまでもありません。

 「民舞」とは日本の各地で古くから伝えられてきた「踊り」であり、働く人々の生活の辛さや喜び、自然や神、祖先などへの畏敬畏怖を、踊りと唄にこめ、祭りなどで表現されるものといわれています。子どもたちにとって、この「民舞」を学び表現することは、そうした日本の伝統文化としての舞踊遺産を学び継承することになりますが、その「民舞」が生み出された歴史的背景、天変地異や様々な生活上の辛さや喜びを想像し、表現者として自己表現することになり、そこに躍動感もおのずと溢れ出てくるのかもしれません。

 各学年の「民舞」は、湘南・鵠沼、湘南学園小学校・湘南子ども文化を構成する大きな要素になっているのです。