雀百まで踊り忘れず

2013年5月23日

本校の卒業生であり世界的に著名な経済学者である青木昌彦教授のスタンフォード大学のオフィスに、教授の小学五年生のときの作文をコピーしてメールで送りました。教授の著書の中に湘南学園時代の思い出が活写されており、私も大変興味ぶかく読ませていただいたことと、80周年関係のこともあり、やりとりの中でメールさせていただいたわけです。

青木少年の作文は昭和24年に発行された「松ぼっくり」創刊号の「今度の社会科について」という文章で、担任の先生から指示された課題「新聞とラジオ」に沿って取組んだ新聞つくりについて書いたものです。新聞社につとめていたおじさんの「世論調査をやってみたら」というアドバイスを受け、青木少年は2百近い世論調査をして、それを作文にしました。私は色々な機会に湘南学園小学校が戦後初期から「総合学習」「PISA型学力」に通じる学習をしてきたことの例証として、この作文をとり上げてきました。この作文は上のように教育実践史上も興味のある事例なのですが、教授の著書を読んでみて、青木少年の作文の内容が、その後の教授の研究と連続していることに驚きました。返信していただいた教授の文章の中にも「雀百まで踊り忘れずという思いです」とあったのですが、小学校時代の学びがこうして結実していったことを思うと、教育者としての責任と喜びを感じるのです。