大グラと野球

2020年7月9日

 5年生のKくん。登校するとグローブとボールを持って大グラ(中高グラウンド)へ一直線!
嬉しそうに僕にボールを見せてくれました。

 「ボールにサインしてあげるよ。」
 「えっ!?本当?してして!!」

 冗談で言ったつもりが、本当にサインすることになりました。初めてボールにサインをしました。
 「こんなんでいいのかあ?」と思いながら手渡すと、かなり喜んでくれました。自他ともに認める野球バカの僕は、憧れのプロ野球選手になった気分です。
 昨年度は彼の担任だったので、休み時間にはよく一緒にボールを追い掛けました。今日もKくんは僕のサインボールを持って元気に大グラへ 飛び出しました。

 長い教員生活、たくさんの子どもたちと野球をしてきました。(下の写真は昨年度撮影)その中には、湘南学園高校野球部で幼なじみと共に3年間汗と涙を流した子、甲子園の土を踏んだ子、大学選手権に出てプロ野球の独立リーグに行った子もいました。

 そんな中で忘れられない出来事があります。 僕が5.6年で担任をしたYくんの話です。Yくんは甲子園で優勝したことのある強豪校で野球をしていました。僕の次男もYくんと同じ歳で、別の高校で野球をしていました。彼らが高校2年の時、夏の神奈川県大会の準決勝で対戦することになったのです。試合前、Yくんはユニフォーム姿で僕の所へあいさつをしに来てくれました。試合は延長戦の末、次男の高校が勝ちました。


 その日の夜に次男から聞いた話です。Yくんは試合前に次男の所にも来ていたというのです。「シュウセイの息子さんでしょ、お互い頑張ろう!」と、これから戦う相手にエールを送ってくれました。
 小学校時代のYくんはとてもやんちゃで、幾度となく僕に叱られていました。しかし、この話を聞いて、彼の担任であったことをとても誇らしく思いました。

 Yくんが卒業前に僕にくれた硬式ボールは、今も校長室にあります。