本と出会う

2020年10月23日

 「愛読書は何だと聞かれると困る。僕には朝夕卷を措かずというような本はない。どういう文章が好きかというのか。それなら少しはある。」夏目漱石は明治39年の雑誌「中央公論」に「予の愛読書」という談話を寄稿し、愛読書についてこのようなことを述べています。

 芥川龍之介は大正9年の雑誌「文章倶楽部」に載せた「愛読書の印象」の中で、「子供の時の愛読書は「西遊記」が第一である。これ等は今日でも僕の愛読書である。比喩談としてこれほどの傑作は、西洋には一つもないであらうと思ふ。」と述べています。
 それぞれの寄稿を読むと、夏目漱石は愛読書はないが文章に好みがあり、芥川龍之介は年代ごとに愛読書があることが分かります。

 図書の吉川先生は漱石と同様に愛読書はなく、文章について次のように話されいました。「文章は人となりを表します。そこから見えてくる書き手の人物像が面白くて本を読みます。」読書に対する思い考えは、人それぞれだなあと思いました。では、自分はどうかというと、好きな作家の作品を追い求めるというクセがあるようです。

 「人生の中で、本を読む “読みどき” が必ずあります。そのタイミングを逃さないようにして欲しいと思います。」吉川先生の言葉です。これは、本当にその通りで “読みどき” に出会った本とういのは、心の拠り所になったり、生きる指針になったりするものです。
 来週から読書週間が始まります。良い本に出会えますように・・・