6年生 ウクライナとつないでの授業

2022年12月7日

2022年2月24日から始まったロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻は今も続いています。現在、ウクライナのキーウにいる日本人の方と現地のウクライナ人の先生とズームでつないで、6年生が特別授業を行いました。

(なお、今回の内容は11月末時点のものであり、またキーウで生活している方の個人の見解です。ご理解いただいた上でお読み下さい)

これまで6年生は、環境問題や平和という観点から世界の人々とのつながりを学んできました。今回、ご縁がありまして、特別授業を行うことになりました。ロシア軍による軍事侵攻が行われているウクライナについて、日本に伝える活動をされている神澤清さんにご協力いただきました。また、現地の学校で先生をされているマリーナさんも参加してもらえました。

戦場になっているウクライナ東部から少し離れたところにある首都キーウ。しかし、空襲警報が頻繁に発令されたり、突然停電になってしたりするような生活が続いているようです。今回は、授業の前に子どもたちから質問を集めました。その質問に答えてもらう形で、話は進みました。マリーナさんへの質問と答えです。

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Q.今のウクライナの気候はどうですか。
A.気温は、平均が0度~1度という印象です。たまに、寒い日は-3度くらいになります。雪は3日に1度くらい降っていて、曇りの日が多いです。

Q.食材や水の調達と、保管はどのように行われていますか。
A.キーウの人たちは地元のマーケットやスーパーで食材を買っています。私たちは冷蔵庫を使って食べ物を保管しています。もし電気が無い場合は、バルコニーに置いています。
より長く保存できる食品(パスタ、缶詰の肉、クッキー、コンデンスミルク、ハチミツ)を購入するようにしています。水はボトルで購入するか、特別な井戸から汲んでいます。

Q.戦地は大変ですか。つらいことや、困っていることはありますか。
A.ウクライナの人々にとって、この9か月は非常に困難なものでした。私たちは、怯え、怒り、疲れ果て、ストレスを感じていますが、同時に団結し、力強く、勝利への決意を固めています。なぜなら、高い代償を払ったからです。多くの人がウクライナのために亡くなりました。私たちは可能な限り戦わなければいけません!

Q.ウクライナの人は、ニュースがどのように報じているかを知っていますか。
A.私たちは今、国際メディアをよく読み、主要なスピーチ、インタビュー、イベントを全て見ています。国際メディアの報道は、私の印象と違いは無く、正確に伝えていると感じています。

Q.ウクライナの人たちは日本のことを知っていますか。
A.私たちはみんな、日本を知っていて、尊敬しています! 開戦当初から日本の支援を感じています。ありがとう。

Q.遊びに行ったり、学校に行ったり、病院に行ったり出来ますか。
A.はい、できます。ただ、慎重にです。学校は、オンラインで授業をしています。空襲警報中は屋内にいる方が安全です。子どもたちが外で遊んでいるのを見ることができます。彼らは恐れずに元気いっぱいです。病院に行くことは可能です。

Q.ウクライナの中にロシアの立場に立つ人はいますか。
A.残念ながらいます。テロリスト国家ロシアを助ける人々がいます。
彼らは写真を撮り、私たちの重要なインフラの座標(場所)をお金目的にロシアへ提供しています。発電所、工場、政府の建物、病院、軍事基地など、私たちの生活と防衛にとって重要な場所の情報です。
ロシアはこれらの座標情報を使用して、ロケットでそれを破壊します。私たちの国防省は、常にそのような犯罪者を見つけて逮捕しています。

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生の声を聞くことができ、6年生の子どもたちは緊張した様子でした。続いて、神澤清さんのお話です。

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Q.神澤さんから見て、今の戦争に対する思いを聞かせてください。
A.今回の出来事から、21世紀でも戦争が起こるという事実。さらに、国家間の暴力をすぐに完全に止められる力が存在しないことがわかりました。武器から身を守るには、武器が必要なのではないかという示唆を僕たちに与えるのです。でも、本当にそれでいいのでしょうか。このままいったら人類はどうなるのでしょうか。ウクライナの人だけじゃなく、日本に住む僕らもしっかりと目を向けるべきと考えています。

Q.ウクライナで一番怖いなあと思ったことはどんなことですか。
A.戦争は、人々から日常を奪い、新たな日常に人々を強制参加させます。戦争が当たり前になるのです。人が死ぬのは、戦争が悪いのではなく、“運”が悪いのだと捉えるようになります。それが一番恐ろしいと思います。戦争は、人が起こしているのですから。

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短い時間でしたが、価値のある授業でした。マリーナさんは、異国の子どもたちにお話しできたり、交流できたりしたことに、嬉しさもあったように思いました。英語を駆使してのやりとりも、子どもたちにとって学ぶことがあったと思います。

遠い世界の出来事に感じますが、日本に住む私たちも自分事として考えなくてはなりません。また、ウクライナの人々への連帯の意識も変わらずにもちたいと思います。