6年「国語」研究授業

2016年2月25日

2月16日、6年生「国語」の研究授業を行いました。

先月は「教育研究『学び合い』まとめの会」を開き、教員全体で認識の共有をはかり、今後の課題が見えてきたところです。今回の研究授業は本校の研究主題“『学び合い』~つなげる学び、つながる学び~ ”の最後となる授業でした。
 
教材は『海の命』(立松和平・光村図書6年)。物語に登場する“太一”は幼少期~壮年になるまでの生涯で、自分を取り巻く人たちの生き方・考え方に影響を受け、たくましく一人前の漁師として成長をしていきます。卒業前の子どもたちが、太一を深く見つめ考えながら読むことで、自分と関わる人たちとの関係や自己の生き方を見つめてほしいと思います。また私たちの命、生きとし生ける命あるものは、互いに関わり合って、支え合って生かし合いながら存在しているのだということを改めて考える機会になることを期待しています。
 
子どもたちは毎時間授業の終わりに感想シートにその授業でわかったことや考えたことなどを書いてきました。
場面を追うごとに一人ひとりの読みはより深く豊かになったり、時に新たな問いが生まれ自問自答したり、教室の仲間と語り合う経過で解決されることもありました。

本時では、“太一”の心の葛藤を経、心の変容に焦点を当て、自分なりの意味づけができればと考えました。
―追い求めていた太一は夢のひとつであったはずの「クエを獲(捕)ること」をやめた。その理由は何か、太一はなぜ大魚はこの「海の命」だと思えたのか、太一は夢であった一人前の漁師になれているのだろうか。

これまでの読み取りが総じて出る場面でもありました。
授業中には一人ひとりの多様な読み取りが表出され、活発な議論が展開され、6年生としてのたくましい成長が感じられました。

授業後の感想の一部です。

◆「一人前の漁師になる。」ふつうの意味では、自分のうでで決まるものだけど、クエに対する思いやり(クエを“おとう”と思うこと)ができるという面では、一人前の漁師になれたのかなということ。うでではなく、心の面では立派な漁師になれたと思います。

◆太一は実力だけでなく、自分の利益以外の命まで考えるようになったので一人前の漁師だと思う。

◆太一の「一人前の漁師」とは、海の生き物を生かし、大切に守っていくことなのではないか。

◆どんなにもりを見せても動じないクエの姿は何があっても変わらない強い気持ちを持った父と似ていたのかなと感じた。



授業はこの後も続きました。
仲間と一つの問いを考えたこと、考えを深めていったこと、“命とは何か”と問われたときに自分なりの一つの認識に至ったこと…仲間と「共に過ごした」価値や意味を見出してほしいと思います。

教室を離れた様々な場面で、生きた言葉として表出され、自分の生活につながり生かせたときに、改めて「子ども主体の学びの成立」につながることでしょう。今回の研究授業に限ったことではありませんが、小学校で学んだことが子どもたちの未来につながっていくことを心から願っています。