ごんぎつね

2021年9月17日

 境川沿いの公園の池の淵には、彼岸花が赤い花を咲かせていました。秋を感じる風景です。
 4年生が国語で『ごんぎつね』の学習をしています。『ごんぎつね』の2の場面には彼岸花が出てきます。葬式の列を小ぎつねのごんが見ているシーンです。「ひがん花が、赤いきれのようにさき続いていました。」と書かれ、白い着物を着た葬列が過ぎると、「ひがん花がふみ折られていました。」と描写されています。着物の白と彼岸花の赤の対比は、紅白という意味では華やかですが、この場面では葬列の暗い印象と対比され、さらには彼岸花が持っている毒性は死を連想させる演出になっています。

 4年はやて組担任の星野先生は“悲哀”という言葉をつかって、子どもたちへ物語の世界観を伝えようとしています。物語の全体像から掴ませる授業展開です。僕の手元には、子どもたちが書いた「『ごんぎつね』を一文で表すと・・・」があります。まだ、『ごんぎつね』は始まったばかりなので、物語の本質に迫って書かれている文はありません。しかし、全ての授業を終えたときに、子どもたちは必ず本質に迫る考えになっているはずです。そこまで言い切れる理由は、星野先生が教材観をしっかりと持って授業をしているからです。公園の池の淵の彼岸花が散る頃に、もう一度「『ごんぎつね』を一文で表すと・・・」を書くかはどうかは分かりません。ただ、一人ひとりの子どもが、自分の『ごんぎつね』の世界観を持てる授業であることは間違いありません。