かわせみが来た日
今から8年前、1年かわせみ組の担任になりました。
次の文は、最初に発行した学級通信の一部分です。
湘南学園小学校のクラス名は、担任が各々の想いと願い込めてつけている。
今年度の1年生は小鳥の名前からとることにした。なぜそのようにしたかというと、学校の中に「学びの森」というビオトープがあり、そこに来る小鳥の名前からつければ、子どもたちもクラスの名前に親しみを持ってくれると考えたからだ。
ところが、かわせみはまだ学びの森にはやって来ていない。ただし児童会では、「学びの森にかわせみを呼ぼう」を目標のひとつとして掲げている。実際には学校の近所の水場や柏尾川にはかわせみが来ている。だから条件さえ整えば、湘南学園小学校はかわせみが来る学校になれるはずだ。
2年かわせみ組も僕が担任をしました。
次の文は、最後に発行した学級通信の一部分です。
今年も学びの森にはかわせみは来なかったけれど、今日の君たちは瑠璃色に輝いて見えるよ。
二つの学級通信の文面から分かる通り、かわせみ組を担任した2年間の内に、学びの森へかわせみが来ることはありませんでした。その後もかわせみが来たという話は耳にしたことがありません。
しかし、とうとうその日がやって来たのです。
今日、かわせみが学びの森にやって来ました。
朝のHRの時間のことです。1年生の廊下を通り2年生の教室へ向かう途中、ふと学びの森に目を向けると、木の枝に珍しいシルエットの小鳥が止まっているのに気付きました。最初は逆光だったのでよく分からなかったのですが、横を向いたときのくちばしの形を見て「かわせみ?」かも知れないと思いました。その後小鳥が体の向きを変えたときに、特徴的なはねの色がちらりと見えたので「かわせみだ!」と確信しました。かわせみは2分ほどそこにいて、瑠璃色のはねを輝かせ1年生の畑の方へ飛び立って行きました。
学びの森ができて10年。
ついに湘南学園小学校にかわせみが来ました。