絵ノチカラ

2021年12月10日

 夏休みの絵画コンクールの表彰をしました。朝のHRの時間に表彰状を渡すため各教室を回りました。どのクラスも表彰を受けた仲間にたくさんの拍手を送っていました。
 絵を描くという行為は自分と向き合うこと、自分と対話することだと思います。その時間が長くなればなるほど、絵が訴えてくる力は強くなります。僕も趣味で絵を描いていますが、油絵の具に変えてから自分と向き合う時間が長くなりました。油絵ですから乾燥させる時間が長くかかります。不思議なのはいくらその時間が長くても、前回に筆を置いたときの自分の状態のまま絵と向き合い筆が動くことです。

 歴史に残る絵画は、やはり絵に力があります。もちろん表現に対する好き嫌いはあります。例えば、クロード・モネや東山魁夷の絵の前では時間を忘れてしまうほど、長い時間(とき)を過ごすことができます。一方で、観るのもつらくなり足早に過ぎてしまう作家の絵もあります。ですから、歴史に残る絵画の中にも、自分に合う合わないがあります。
 子どもが描く絵はそれとはまったく違います。まず、絵に対する好き嫌いの感情が生まれませんし、自分に合う合わないなどとは微塵も思わないということです。それはきっと、子どもたちが純粋で無垢に筆を動かし絵に向き合っているからだと思います。銀賞をとった女の子の絵は、テクスチャーを作りその上に描かれています。それだけ、手数と時間を掛けているということです。どの絵も明るく気持ちよく描かれていて爽やかな気分になりました。表彰を受けた子たちも、それぞれが描いた絵と同じ様に明るく爽やかに表彰状を受け取っていました。人柄が作品に表れているということでしょう。6年生の女の子は「一生懸命描いたので、賞をもらてうれしいです。」と言って、クラスのみんなから拍手をもらっていました。
 3学期は制作展があります。どんな作品と出会えるか、どんなメッセージをもらえるか、今から楽しみで仕方ありません。