一人の若者を通して見えた風景

2021年12月14日

 我々教員は子どもたちにたくさんのことを学ばせたいと思っても、どうしたら良いかと壁にぶつかることがあります。教育の世界は決して広くないので、そんなときは学校外の人の力を借ります。
 例えば、5年生の田植えは地元で有機農法でお米づくりをしている相原成行さんのお力を借りて学ばせてもらっています。相原さんは僕と同世代です。
 先週、4年生の総合の授業で力を貸してくれたのは23歳の若者神澤清さんです。清さんは僕の息子と同世代です。旅をしながら歌で環境を守ることの大切さを伝えています。底抜けに明るくてエネルギッシュで、ずっと突っ走っている感じがします。その言葉と想いはど真ん中ストレートです。ですから、とても短い時間で清さんの歌が、言葉が、想いが子どもたちの心を鷲づかみにしました。一言でいうと「勢い」そのものです。それは多分・・・いや絶対に23歳の若者だからできたことなのです。30代や40代ではダメなのです。

 僕は子どもたちに「今しかできないことを大切に!」と言い続けてきました。昨年度の卒業生には「今だ!と思ったときが旅立ちのときだ。」と伝えました。

 20代で見た風景と50代で見た風景は、同じ場所に立ったとしても出てくる言葉や感じ方はまるで違います。歳を重ねることは、もちろん悪いことではないのですが、あのときのあの感覚にもどれないさみしさがどこかにあります。それでも人は旅を続けるように明日を生きなければなりません。だからこそ、子どもたちには今できることを大切にし、好きなことを見つけて挑戦し続けて、新しい世界を見てほしいのです。
 子どもたちの言葉を集めて清さんが曲を作ると聞きました。10歳の子どもたちと23歳の若者が作る歌は未来への架け橋となることでしょう。