地域からの視座~鵠沼松が岡から

2014年6月20日

 湘南学園小学校が所在する鵠沼松が岡という地域を理解し早く馴染もうと、自転車を使って路上観察ならぬサドル(自転車)観察を試みました。まず目に飛び込んでくる光景は、鵠沼松が岡の地はもとより、鵠沼一帯の家々の庭などに植えられている松と松が織り成す景観です。趣のある町並みの中に見事な枝振りの松を見るにつけ、その生育の良さの理由の1つに、ここの砂地の適応性をあげることができそうです。どのお家も松を大事にされていることが、それぞれの手入れの良さから伺えます。湘南学園にも多くの松が植えられていますが、校長室の窓越しから数えることができるだけでも、その数優に30本を上回り、桜などとマッチングして、入学式・始業式時の写真撮影の背景にぴったりといえます。

 鵠沼といえば鵠沼海岸。ここ松が岡から徒歩約20分程で海岸に到達することができます。海岸から南に相模湾を望み、南東には景勝地江ノ島が、西から西南方面をみやると湘南海岸が弓なりに伊豆半島へとつながり、その上には箱根の山々と富士の高嶺を松の景観越しに眺望することができます。鵠沼の皆さん、ご自慢の風景の1つといってよいでしょう。ところで日本最初の海水浴場は大磯海岸といわれていますが、ここ鵠沼海岸は、大磯海水浴場開設翌年の1886(明治19)年に開設されたもっとも歴史のある海水浴場の1つとしてつとに有名です。その後間もなく東京にも程近いロケーションも手伝い、別荘地として開発され、政財界人、学者、文化人などが多く住まい、逗留や訪問するようになり、創作活動に、文化交流にと歴史文化としての「鵠沼文化」を形成していくことになりました。学校は地域文化を構成する要素の1つといわれますが、「鵠沼文化」、なかでも「教育文化」の1つとして、1933(昭和8)年に創設された湘南学園はそのことを物語っています。

 小田急「鵠沼海岸駅」から程近い鵠沼市民センターには、こうした鵠沼の歴史を知ることができる「鵠沼郷土資料展示室」が開設されています。先日、見学に伺った際に、同展示室運営委員会副委員長の内藤喜嗣さん(湘南学園OB)より、博学多彩なる説明をしていただきました。鵠沼郷土資料館展示の中に湘南学園の歴史もしっかり位置づいていることも発見の1つでした。この背景には、鵠沼公民館を拠点にして長年にわたり「鵠沼を語る会」の地道で精力的な活動があることも分かりました。ここ鵠沼郷土資料展示室訪問と内藤さんからのお話を通じて、改めて地域からの視座の大事さを考える機会となりました。

 これからもサドルからの観察は続きます。