電車通学~江ノ電の楽しみ
2014年12月5日
子どもたちのなかには、江ノ電に乗って通学することを夢見ていたとの話をきいたことがあります。江ノ電の魅力は鉄道ファンならずとも感じている方は多いのではないでしょうか。ちなみに、江ノ電は1902(明治35)年藤沢ー片瀬間が開業し、10(明治43)年には小町(鎌倉)まで開業、営業キロ10km、駅数15を数る歴史ある鉄道といえます。
そこで、私なりにその魅力を整理してみました。
1つは、スローライフにうまく調和したスピード感覚をあげることができます。避寒地・別荘地として始まった鵠沼の近代史からみても、あまり慌てずに人としての生活の豊かさとそれを保障する交通機関として適度なスピード感や区間距離を併せ持つ鉄道として、江ノ電は親しまれているように思われるのです。2つは、何ともレトロな趣のあるデザインの車両をあげておきましょう。江ノ電の車両は、緑と淡い黄色を基調に鎌倉・江ノ島・鵠沼・藤沢の自然に見事に溶け込んでいます。海と山の狭間を走る鉄道車両として、なるべく目立つ存在として自己主張せず、それらと一体化した存在に共感をする方々も多いこととと想像しました。
3つに、江ノ電に乗車する皆さんが、この江ノ電を好きだよ!愛しているよ!とでも感じられるように優しく乗車されていることかもしれません。むろん近年日曜日などなると鉄道愛好家がひしめき合っているので、当然といえば当然ですが、平日など、お年を召したご婦人が、帰宅のため乗車した湘南学園小学校の子どもたちを暖かくまた社会的マナーをさりげなく諭す場面に出くわすと、心温まる思いと共に沿線・地域の方々の愛着を感じざるをえませんでした。
4つは、おまけになりますが、江ノ電は「おいしい」ということです。といってもお菓子の話。江ノ電は鉄道ばかりとは限りません。「江ノ電もなか」という名物があるのです。江ノ電に乗車し、車窓から湘南の写り行く四季を眺めつつ、旅のお供に「江ノ電もなか」をいただく時、何とも江ノ電はおいしい!と感じるのです。最中は和紙で包まれ、それを入れるパッケージには江ノ電の車両と共に、車窓には、江ノ島、長谷の大仏、寺社がそして天井には切符のデザイン(昔の硬券切符に鋏を入れたもの)も描かれています。食べ終わった後は子どもに帰った気持ちでパッケージを使っての電車ごっこや、またどこかに置いて夢を乗せて楽しみたい気持ちに駆られるのは私ばかりではないようです。今日も、ゆったりと初冬の陽光を浴びながら江ノ電は走っていました。