「宮下正美を語り継ぐ」~「南信州新聞」から

2014年12月12日

「南信州新聞」2014.11.26の該当記事

 児童文学者・教育者として戦後草創期の湘南学園学園長として活躍された宮下正美先生(1901~1982)の代表作品が、来春にも復刻されるといいます。学園に身をおく一人としてその刊行を心から期待するものです。そんな折、大学院時代の知人であるT教授が取り組んでいる「SJ国内研修」(法政大学国際文化学部における留学生に多面的な日本認識をもってもらうことを主目的に、長野県飯田・下伊那地方でを実施しているプログラム)に係り、購読されている「南信州新聞」の宮下先生に係る資料提供をいただきました。

 それは「宮下正美を語り継ぐ」(「南信州新聞」2014.11.26付)と題した8段組の大きな記事です。その記事を紹介します。宮下先生と同郷の山田博章さんは今から3年前に宮下先生の存在を知り、「宮下正美先生を語り継ぐ会」を立ち上げ、その足跡を辿り、ゆかりの地を訪ね、語り継ぐ必要性を実感したといいます。

 この11月23日には、高森町歴史民俗資料館において、町民ら約80名が参加して宮下正美を語り継ぐ山田さんの講演会が開催されました。この講演会は3つの構成になっています。1つとして児童文学者として知られた宮下文学の魅力を味わう作品朗読、2つとして宮下文学作品三部作の復刻(2015.1.予定)にいたる経緯や、代表作「山をゆく歌」の内容や背景に描かれている木曽山脈など地元の美しい風景を含めての評価、そして3つには宮下先生の生い立ちから、上京、学生生活、教育者としての仕事、定年後の経歴を様々なエピソードを交えての人生論など盛りだくさんの内容といえます。そのなかでのエピソードの1つは、宮下先生は少年時代、母親からカイコの成長を人間の成長になぞらえ、「自分自身の力で殻を破り生まれ出てくる」という生命論について教えられたというものです。山田さんは、このエピソードが宮下先生の自立につながったと推察します。また飯田中学から慶応義塾大学に進んだ宮下先生は、同郷の先輩たちが暮らす寄宿舎「信陽舎」で飯田出身の演劇学者・河竹茂俊と出会い、その後の人生に大きな影響を与えたともいいます。

上記新聞より会のようす

 また、大学においては慶応の建学の精神や校風に大きな影響をうけ、慶応幼稚舎で22年間の教員生活を送り、「体力と感性を身につける」教育実践に取り組み、教師と生徒の信頼関係を築いたともいいます。その後、宮下先生は、小泉信三との出会いから、湘南学園の学園長を引き受けることになります。湘南学園時代の宮下先生は、学校経営と教育指導に尽力された面を、仲本正夫湘南学園長をはじめ本学園関係者の証言や資料から浮き彫りにします。

 湘南学園小学校そして湘南学園が、建学の精神を基調に、新たな改革を進めるいま、宮下先生の事跡から学び考えること、それを自校史教育に生かしていくことなど課題がみえてきました。

*(お詫びと訂正)「校長日記2014.11.7」の文中に倉田澄子さん(チェリスト)が湘南学園出身とありますが誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。