うたを詠むということ~「第6回ジュニア短歌・俳句・川柳大賞」(神奈川新聞社)の一席に

2014年12月19日
【短歌部門】 一席 
湘南学園小学校6年 男子
「葉が落ちて はもん広がる水面上 静かな池と心つながる」

2014年12月10日(水)神奈川新聞 朝刊

 この男の子は、この短歌を修学旅行に行った際、吉野にある千利休が造った庭園(竹林院群芳園)を見た時に詠んだといいます。そして「五感を使いながらその場で感じた空気感そのままを表現しました。僕の心と池がつながった気がして、昔からの大切なものを感じました」とコメントしてくれました。

 選者の歌人・今野寿美先生は、この短歌を評価し、「上の句で目の前の光景を描き、下の句ではそこに心が引かれてゆく感じを述べています。この結びによって、何か深いところのある、6年生らしい歌となりました。」と最後の七が大切であることを、分かりやすく選評してくれています。

 上の短歌に加え、同じ短歌部門の佳作として2名の湘南学園小学校6年生の歌、また川柳部門の佳作として同1名が受賞をしていますので紹介しておきましょう。

【短歌部門】 佳作
湘南学園小学校6年 女子
「私の手 ぎゅっとにぎった一年生 その小さな手をにぎりかえした」

湘南学園小学校6年 女子
「窓開けて 朝一番の雨のにおい 心の底から深呼吸する」

【川柳部門】 佳作
湘南学園小学校6年 女子
「日傘から もれ出す光 儚くて」

 こうした作品には、湘南学園小学校の教育的特長である豊かな表現活動の一端が垣間見ることができます。限られた文字数のなかで感情や情緒を表現するというルールからみると、すこし堅苦しく感じますが、子どもたちの豊かな感性やその表現力は、そんな堅苦しさを楽々と乗り越え、相手にしっかりと気持ちを、心根を伝えることができるのです。こうした表現活動が、湘南学園小学校の初等教育としっかり結びついているところに、「豊かな学力と人間性の追求」というものの背景があるとみました。

「うたを詠み 未来描けし 霜芽かな」

*湘南学園小学校は12月25日から冬季休暇に入ります。次回校長日記の更新は2015年1月9日になります。よい年をお迎えください。